肺炎球菌ワクチン
肺炎は日本人の死因の第3位です。高齢者に多く、肺炎球菌による肺炎がその3割を占めます。しかし、予防のために肺炎球菌ワクチンを打っておくことで、3割も減らせるそうです。長崎大学熱帯医学研究所のチームの試算では、年間10万人の肺炎患者を減らせると言います。2015年には約12万人が肺炎で亡くなっています
2014年からは65歳以上の対象者に、国や自治体がこのワクチンの接種の一部費用を負担する制度もできました。これを機会にぜひ対象となる年には受けていただきたいと思います。また、早く接種したい方は、自費でも受けられたら良いと思います。大人用ワクチンは、自費で約8000円です。
肺炎球菌とは
肺炎の中でも、一番多くの原因となるのが肺炎球菌。これをどうにか退治すれば、肺炎患者が減るわけです。ためしてガッテンで、肺炎球菌は、どこから来るのか調べていました。家の外のあらゆるいそうな場所を調べましたが検出できませんでした。
唯一いる場所は、人の鼻の奥でした。30人中6人が持っていました。風邪やインフルエンザなどに罹った時に、この肺炎球菌が肺に落ちて、体力がなければ肺炎を併発することになります。肺炎楽天 肺炎死亡者の95%は65歳以上の高齢者です。
肺炎球菌の特徴として、菌の周りにバリアと呼ばれる物質が取り巻いています。このバリアのせいで、免疫細胞の一種である好中球も肺炎球菌であると認識できず、食べて退治してくれません。
脾臓と肺炎の関係
脾臓は左の腎臓の上辺りにあり、こぶし大の大きさです。脾臓の中には、マージナルゾーンB細胞があり、この免疫細胞が肺炎球菌に触って確認し、抗体(ふりかけ様のもの)がくっつくと、好中球にも肺炎球菌が悪者とわかり食べてくれるそうです。
また、脾臓は高齢とともに小さくなります。60歳代では、若い人の70%の大きさになっているようです。半分の大きさだと半分のマージナルゾーンB細胞の数に減ります。そこで、脾臓を強くするのが肺炎球菌ワクチンの働きです。
肺炎球菌ワクチンについて
大人用ワクチンは、PPSV23で、23価ワクチンと言われ、約90種類ある肺炎球菌の中でも肺炎を起こしやすい種類を選んで作られています。約8000円で、これから国や自治体が一部負担してくれます。ワクチンを接種すると、高齢などで脾臓が小さくなっていても、大きくなったと同じ働きをしてくれるようになります。
肺炎の重症化を防ぐことができます。効果は5年間あるようです。また、5年後に定期接種が必要となります。アメリカやイギリスでは、7割の人が接種しているそうで、日本では、3~4割の人とまだ少ないです。
子ども用ワクチンは、PCV13で、2013年から定期接種になった新しいワクチンで、鼻の奥に肺炎球菌を住めなくするそうです。子ども用ワクチンは、生後2ヶ月から5歳未満のこどもに4回接種します。初回の接種月齢や年齢により、回数や接種間隔が異なります。小児科などでお尋ねください。
65歳以上の人は、まず大人のワクチンを接種後、1年間期間を開けてから子ども用ワクチンを打てば良いそうです。価格は約10000円で、一生効くそうです。
一部負担の対象年齢
2014年から65歳以上を対象に23価ワクチンの定期接種が始まりました。国や自治体が費用の一部を負担し、自己負担が2000~5000円ほどになりました。が、接種率は約4割にとどまっています。2015年には、約12万人が肺炎で死亡したそうです。
対象年齢は、65歳、70歳、75歳、80歳、85歳、90歳、95歳、100歳となっています。現時点では、この定期接種は、平成30年度までの該当する年齢となる年度のみだそうです。対象となる年齢の方は、お住まいの自治体にお問い合わせください。
肺炎球菌ワクチンを接種すると、肺炎を33.5%減らし、それ以外の肺炎球菌も含めた全肺炎を27.6%減らさせると言います。男性より女性、75歳以上よりも75歳未満が効きやすい傾向だそうです。