便秘
「たけしのみんなの家庭の医学」で便秘を取り上げていました。便秘楽天 と言えば、成人女性の4人に1人が悩んでいるそうです。
日本人の10人に1人が便秘症で、そのうちの1/3の人が直腸性便秘だそうです。「ためしてガッテン」でも、排便困難型便秘について放送していました。
便の排泄のようす
小腸は6mあり、食物の約8割の栄養を吸収します。そして、大腸は1.5mあり、水分を吸収し便を作ります。
- 正常な人の場合
- バリウムを飲んでその排泄のようすを観察したら、正常な場合は、1時間で小腸へ移動したそうです。バリウムは約24時間後には排出されます。
- 便秘の人の場合
- バリウムは、1時間後には小腸に移動し、6時間後には大腸の方へ移動しますが、2日経っても全てのバリウムが出ずに大腸に留まっていました。
- 便秘・下痢を繰り返す人の場合
- バリウムは、1時間後に小腸へ移動し、6時間後に大腸へ移動します。24時間後には、大腸全体へ移動しますがなかなか排出されません。。48時間後には、下剤を飲んで出しました。
便秘・下痢を繰り返す人は、重度の便秘です。直腸に便がたまって、次の便が大腸で水分を吸収できずにやわらかい便が出るそうです。
腸の栄養吸収の検査(キシロース負荷試験)
腸の栄養吸収の状態を調べるのにキシロース負荷試験という検査をします。キシロース負荷試験は、キシロースという糖分を含んだ水を飲んで、腸でどの位が吸収されているかを調べる試験です。
正常な腸では、1時間後に糖分が小腸からしっかり吸収され、血液中に増加します。その量を血液で調べ腸の栄養吸収の程度を計ります。正常な腸は1時間後の糖分の増加量は25mgです。25mgを超える数値になれば腸の吸収は正常で、25mgより低くなると糖分をきちんと吸収できていません。
食事が夕食の1回だけ、時間も深夜に食事していた便秘の女性は、23.9mgでした。便秘でも、食事のバランスの良い人は49.3mgでした。この女性は夕食後にも家人の付き合いで食べることが多いようでした。
この二人の食事内容、食事時間、食事回数、生活習慣などから、便秘の原因は
1.運動不足 2.朝食抜き 3.不規則な食生活 であろうと医師が判断していました。
腸力がわかる問診(便の形状など)
腸の働きには、腸の運動と栄養の吸収の力が大事です。この腸力を測るには、便の状態を問診するそうです。便が黒かったり、赤~赤褐色だと消化器のどこかで出血している可能性があるのですぐに医師に相談します。
普通の便は黄土色~こげ茶色です。
- 便の形
- Aバナナ型 B太くて短い C小さくゴロゴロ Dエンピツのように細い E水っぽい F固形と液状
- 硬さ
- Aカチカチ B軟らかくもし手で持っても持てそう C手で持ったら崩れる Dドロドロ
- 臭い
- A無臭 B臭うが気にならない C臭い Dかなり臭い
- 腰掛けて排便するまでの時間
- A1分以内 B1~3分以内 C3~10分以内 D10分以上
上の質問の中で一番良い答えは、Aバナナ型、B軟らかくもし手で持っても持てそう、A無臭またはB臭うが気にならない、A1分以内だそうです。
ひどい便秘の場合は、口臭が便の臭いがするそうです。本人が気づいていない場合は、消化器内科で一度相談されてはどうですかと、声をかけてあげたいですね。
便秘の治療法
腸の環境を整えるために、整腸剤を飲むことになります。それとともに、生活習慣の改善が必要になります。そうすると、9割の人が3ヶ月で改善するそうです。
- 朝7時30分 起きてすぐにコップ1杯の水を飲みます。この時にアーモンド10粒を食べると良いそうです。
- 朝8時 朝食には納豆とキムチなどの発酵食品を食べます。腸内細菌が住みやすい環境を作ってあげます。
- 朝9時 犬の散歩をします。朝・晩1時間ずつ歩くと良いです。落ちている腹筋力を鍛えることができます。
- お腹のマッサージをします。握り拳でのの字を書くように、大腸を時計回りに押さえていきます。腸に刺激が加わり、少しのマッサージでも効果があるようです。
- 腸は自律神経でコントロールされているので、交感神経と副交感神経のバランスがとれていることが大事です。リラックスすることが良く、音楽鑑賞やアロマ、笑うこと、お花を育てる、犬と遊ぶなど自分に合ったことを探してやってみましょう。
- 朝のゆっくりニコニコ歯磨きがお勧めだそうです。口角を上に上げて笑顔を作って歯磨きしながら、腰を左右にゆっくり動かすようです。腸力アップに役立ちます。
- 排便時に足置き台として風呂用いすを使うと、腸の位置が排便しやすくなるようです。背の低い方には特に効果がありそうですね。
回数減少型の人の薬について
刺激性の薬・・・副作用として腹痛・下痢が見られることも。依存性がある。1週間の旅行などの時に使うと良いです。
新しいタイプの薬・・・小腸に作用し、水を小腸に出し大腸の便も柔らかくして出しやすくしてくれます。気分が悪くなる人もいます。
浸透圧で出す(酸化マグルシウム)・・・腸内の水分泌をします。即効性がありますが、腎機能の悪い人は控えます。
便秘症の人に良い食べ物
消化しやすい物や食物繊維の少ない物ばかり食べていると、腸の粘膜が刺激を受けず排便が起こりにくくなります。
便通を良くするには、食物繊維を1日18~20gとるとよいそうです。食物繊維は、ほとんど消化されず、食物繊維が水を含むことで腸のぜん動運動を促進します。
食物繊維の多い食品
- 野菜
- とうもろこし、ごぼう、かぼちゃ、切り干し大根、たけのこ、なす、大根、トマト、キャベツ、にらなどに食物繊維が多く含まれています
- 果物
- 柿、夏みかん、りんご、オレンジ、乾しあんず、桃、梨、すももなどに食物繊維が多く含まれています
- 芋類
- サツマイモ、ジャガイモ
- 海藻類
- こんぶ、のり
- きのこ類
- 干ししいたけ、えのき、しめじ、マッシュルーム
- 豆類
- アーモンド、あずき、おから、大豆、落花生、納豆、甘栗
- 穀類
- そば、赤飯、中華めん、食パン、スパゲティ、うどん、コーンフレーク、フランスパン、米飯
便秘に良い食品・悪い食品
ごはんを食べると、大腸まで水分が運ばれるので便秘になりにくいそうです。
- 便秘に良い食品
- 乳製品(牛乳・ヨーグルト)、油脂(オリーブオイル・バター・ごま油)、ビール、炭酸飲料、クエン酸、リンゴ酸、糖(はちみつ、砂糖、水あめ)、香辛料(わさび、からし、カレー粉)など
- 便秘に悪い食品
- 渋柿、赤ブドウ酒などは多量のタンニンを含んでいて下痢を止める薬としても使われます。肉類にかたよった食事をすると便の量が減り、腸の蠕動運動が弱くなります。
直腸性便秘(頑固な便秘・排便困難型便秘)とは
10人に1人が便秘症で、そのうちの1/3の人が直腸性便秘だそうです。直腸性便秘は、年齢とともに増えます。また、強くいきむことを習慣にしていると骨盤底筋(恥骨直腸筋など)が上手に動かせなくなるようです。
頑固な便秘・排便困難型便秘の症状と原因
頑固な便秘・スーパー便秘の人には、排便しても便が残った感じがする、強くいきんでも出にくい、トイレの回数が増えたなどの症状が出るそうです。
また、便秘と下痢を繰り返したりします。女性が重症化しやすいそうです。
- 骨盤底筋(恥骨直腸筋など)の緊張
- 便秘症の人の3人に1人は、食物繊維をたくさん摂っても効き目のない頑固なスーパー便秘だそうです。この頑固な便秘・スーパー便秘は、骨盤底筋が緊張してガチガチになっていることが原因のようです。直腸性便秘の中でも、息んだ時に骨盤底筋が緊張する人がいます。骨盤底筋が緊張したままだと直腸に対して肛門が約直角ぐらいの感じですが、骨盤底筋がゆるむと直腸と肛門が真っ直ぐになり排便しやすくなります。
- 直腸瘤(ちょくちょうりゅう)
- この他の頑固な便秘・スーパー便秘の原因には、下剤の飲み過ぎで腸がたるんだり、出産でゆるんでポケットができた人もいます。直腸瘤・直腸ポケットは、女性のみに見られるそうです。
頑固な便秘・排便困難型便秘の検査法
バリウム入りの小麦粉を注射器でお尻から大腸へ入れて造影し、直腸の様子などを調べるようです。直腸瘤・直腸ポケットがある場合は、便が肛門の上に団子状になってかたまりスムーズに排便できません。
このような場合には、バランスの良い食事や食物繊維の多い食事を摂っても便秘は治りません。かえって、便が増えてますます直腸瘤・直腸ポケットに貯まるということもあるそうです。
頑固な便秘・排便困難型便秘の治療法
- バイオフィードバック療法
- 恥骨直腸筋の緊張による便秘の場合は、風船を直腸に入れてふくらまし出す訓練をするそうです。恥骨直腸筋の緩め方がわかり、成功体験をすることで排便のカンをつかむそうです。1回1000~2000円で5回ぐらいで済むようですが、1回でコツが掴めた人もいるそうです。8割の人が改善するようです。大腸肛門科で排便造影検査を受けます。
- 手術療法
- 直腸が伸びて直腸瘤・直腸ポケットができた人は、ポケットの部分を縛る手術が行われます。そうすることで排便がスムーズにできるようになります。いろいろと試してもダメな時に手術が行われます。骨盤底筋を直腸の手前で縫って、直腸が前にふくらまないようにします。膣または肛門から手術します。1時間くらいの手術で1週間の入院となるそうです。
スッキリ排便のコツ
- 便座に座ってから上体を前傾させます。(考える人のような感じ)
- お尻に力を入れて、肛門を締めます。恥骨の方へ押し上げる感覚で行います。そのまま、1から5まで数えます。そして、意識して緩めて1から5まで数えます。これを繰り返して、緊張して締まっている恥骨直腸筋を疲れさせます。そうすると、恥骨直腸筋が緩んで直腸が広がり便がスムーズに出てくれます。1日10回~20回のリハビリを約1ヶ月続けて様子をみると良いそうです。6~7割の人が、前より改善されたと言います。
- かかとをピンポン玉1個分くらい上げます。
- 両手でお腹を押すこともよいでしょう。
- 長い間、息んでいると痔になるので注意が必要です。
便が出にくい時には、上記のようなことを自然にやっているものですね。特に変わったことはないです。
便秘と逆流性食道炎との関係
逆流性食道炎の人の半数に便秘の症状があるそうです。便秘で腹圧が上昇すると、胃が圧迫されて胃酸が逆流するからです。
逆流性食道炎の対策としては、食べてすぐに横にならないこと。1~2時間は起きておきます。左側を下にして寝ると胃に内容物がたまり逆流しにくいと言います。また、食べ過ぎないことも大切です。
便秘と腸内細菌の関係
腸の中には、乳酸菌、大腸菌など100兆個以上の菌が住んでいます。この菌たちは栄養分を取ったり、ビタミンやタンパク質の合成をしたりしてくれます。
この菌は、3つのグループに分けられ、善玉菌、悪玉菌、日和見菌と呼ばれます。善玉菌は、主にエネルギーの吸収をコントロールしたり、ぜん動運動を司っています。悪玉菌は、腐敗、癌の原因となります。日和見菌は、善玉菌にも悪玉菌にもなり、勢いのある方に支配されるようです。
理想の割合は、善玉菌2:悪玉菌1:その他7だそうです。この腸内フローラ(無数の菌がひしめき合ってお花畑のようだ)のあり方が太りやすさに関連しているといいます。
腸内細菌が出すバクテロイデスは、短鎖脂肪酸を出し、これが肥満を抑えます。食物繊維やポリフェノールを含むものを食べると良いです。
他に腸内細菌が出すエクオールという物質は、顔のほてりを抑え、骨密度をあげる、シワが浅くなるなどの老化防止に役立ちます。
また、がんを引き起こす腸内細菌(DCA)もあり、肥満でその菌が増えます。前立腺がん、肝がん、乳がん、大腸がんに関係しているそうです。