体内時計(時計遺伝子)
体内時計とは、今まで聞いたことはありましたが、どういうことか詳しく知りませんでした。体内時計に合わないことをすると、やはり、体に悪いことが起きてきます。
体内時計を正しくするには、どうすればよいのでしょうか。たけしの家庭の医学でやっていました。
60歳代、女性の場合(コレステロール値の上昇)
60歳代の女性は、6年前には、総コレステロールも中性脂肪も正常でした。ところが、料理教室を始めたのと、母親が寝たきりになり、それまでの7時の夕食が10時になりました。2年後には、4kg増えて60.6kg、(身長は162cm)になりました。
そして、LDHコレステロール(悪玉)が、210mg/dlと正常値の1.5倍にも上がりました。
そこで、食事制限をして、1日3000kcalだったのを2000kcalに減らしました。
朝食は、バナナとヨーグルトを食べ180kcal、昼食は手作り弁当で600kcal、夕食は1200kcalにしました。しかし、1ヶ月経っても、体重は減りませんでした。歳を取ったら一生懸命やっても減らないと思ったそうです。
1年後には、LDH(悪玉)が、164mg/dl、総コレステロールは255mg/dとなりました。不思議なことに、低カロリーなのにコレステロール値を上げていました。
この女性は、体内時計の乱れを直す対策をして、みごと半年後には、体重を61kgから56kgに、LDHコレステロール(悪玉)を210mg/dlから147mg/dlへ、中性脂肪を112mg/dlから69mg/dlへと下げることに成功しました。
この女性は、朝食には納豆、チーズを食べ、夕食は肉類を控え18時から19時の間に食べるようにしたそうです。
体内時計とは(5つの型、時計遺伝子の働き)
体内時計には、5つの型があります。
- 超朝型
- 朝型
- 中間型
- 夜型
- 超夜型
朝型傾向の人は、1日が23時間に近く設定されているため、寝付くのも起きるのも早い時間になる傾向があるそうです。
夜型傾向の人は、1日が25時間に近く設定されているため、就寝・起床時間が遅くなる傾向が強いそうです。
体内時計は、時計遺伝子の中に組み込まれていて、様々な臓器に組み込まれているそうです。そして、睡眠、血圧、体温のリズムをつかさどるようです。
時計遺伝子は、細胞内にたんぱく質を分泌させます。12時間でいっぱいになり、12時間でたんぱく質を減らす指令を出しています。
時計遺伝子と理想的食事時間
- 起床時間と朝食・夕食
- 7時起床だと、2時間以内に朝ごはんを食べます。そして、夕食は10~12時間後に食べるようにします。食事内容と食事時間が大切だそうです。たんぱく質の少ない朝食では、リセットできないようです。脳が飢餓状態と判明し、脂肪がエネルギーとして消費されないそうです。また、夕食が午後9~10時と遅すぎると体内に脂肪を溜め込むことになります。起床後14~18時間後にBMAL1(ビーマルワン)と呼ばれるタンパク質の一種が、体内に脂肪分を取り込む働きがあり、脂肪を最もためやすくなります。食べても太りにくい時間は、午後2時~3時で、太りやすい時間午後10時~深夜2時だそうです。
- 時計遺伝子
- 時計遺伝子は、1日ごとにリセットされます。脳は、朝日・朝の強い自然光を浴びてリセットされます。毎日朝5時から昼12時を浴びることが重要です。内臓の時計遺伝子は、たんぱく質により小腸の時計遺伝子をリセットするそうです。
朝食抜き、時間がずれていると
朝食抜き、時間がずれていると、食習慣と体内時計が合わないと、カロリーを一定量蓄積する習慣があるそうです。
朝食抜きの場合、男性で100kcalを女性で80kcalを蓄積します。時間がズレている場合は、男性で50kcalを女性で40kcalを蓄積するようです。食事がズレただけで茶碗1杯分たまることになります。
食事の時間がずれて1日40calの蓄積だと、1年で2kgの脂肪をためこむことになります。
体内時計を使ったガン治療(肝がんの抗癌剤の点滴の仕方を工夫)
横浜市立大付属病院、消化器、肝臓の遠藤医師は、時間治療を行っています。肝がんに対して行っています。3ヶ月後には、ガンが60%に縮小したそうです。普通は、抗がん剤治療は、24時間同じスピードで点滴しますが、体内時間を考慮した時間治療は、夜の10時から朝の10時までの間に抗がん剤の点滴が行われます。そして、朝4時に抗がん剤が最大値になるように操作しています。
時間治療は、副作用の吐き気、食欲不振がほとんどなく、食がすすむようです。 時間治療でガンを小さくし、80%を手術可能にするそうです。5日間の抗がん剤治療が行われます。そして、9日間休んだ後に、再び抗がん剤を5日間受けます。
抗がん剤は正常な細胞の分裂もたたきます。正常な細胞の分裂は、午前4時には一番下がっているので、その時間帯に多くの抗がん剤を体内へ入れます。細胞分裂のリズムを最大限に利用した方法だそうです。
肝臓ガンのみ、転移のない人のみに行われる治療法です。そして、3割の人は、ガンが残っていなかったそうです。抗がん剤を排泄するのも午前4時がよいそうです。
体内時計を使った肝臓がん治療
ある男性は、肝臓がんが2つ見つかりました。しかし、ガンが大きすぎて手術は難しいと言われました。そこで、抗癌剤で肝臓がんを小さくしてから手術をすることになりました。
抗癌剤を寝ている間に、従来の1.5倍の量を投与されました。時間差治療を受けて2ヶ月後、手術でガンを取り除きました。
髪の毛も抜けなかったし、手術時間も早かったと喜んでおられました。
時間差治療の進める上での問題点は、夜中に抗癌剤を投与するので医師や看護師の人手が足りないことです。パリ郊外の病院では、クロノポンプという機械を使って点滴をするようです。これは、自宅で最適な時間で薬が投与できる優れ物だそうです。この時間差治療は、副作用が少なく、経済的だそうです。
体内時計を使ったリウマチ治療(薬の飲み方を変える)
70歳代女性は、8年前から関節リウマチになりました。
今までは、朝と夕方に薬を飲んでいましたが、寝る前に薬を飲むように変えました。
そうすると、痛みが前からするとずっと楽になったそうです。同じ薬の量なのに、こんなに効果が違うのかと驚いたそうです。
富山大学の藤(とう)秀人教授は、深夜にリウマチ原因物質がピークになるので、寝る前、夜の9時に薬を飲むことで効果が出ると言っていました。
体内時計の遺伝子、生活習慣病に影響
広島大学、医歯薬学総合研究所・内匠(たくみ)透教授(脳科学)らの研究で、「体内時計」で中心的な役割を果たす遺伝子は、体内代謝にかかわる多くの遺伝子の働きを制御していることがわかりました。
時計遺伝子「BMAL1」の影響を受けるタンパク質を作る遺伝子は、約3000個あるようです。このうち約6割は、糖や脂質の代謝に関連するタンパク質だったそうです。
これらのタンパク質がうまくできなくなると、糖や脂質の代謝に異常が起き、糖尿病や生活習慣病や肥満につながることが、過去の研究で知られています。
規則正しい生活リズムは、生活習慣病の予防に重要だという明確な根拠を示せたと、内匠(たくみ)透教授は、話しています。
研究成果は、2010年12月10日付けの米科学誌「モレキュラー・セルラー・バイオロジー」に掲載されます。
夜勤のある看護師の時計遺伝子のずれを少なくする「仮眠」
看護師は、早番、遅出、夜勤などの勤務があり、時計遺伝子が7時間ずれている人がいました。時計遺伝子は2時間しか調整してくれないようです。
時計遺伝子の慢性的なずれは、動脈硬化、高血圧、肥満、糖尿病、生理不順などの病気をもたらします。
そこで、週1回12時間の夜勤の時に、深夜1時から2時間の仮眠(暗い部屋で寝る)を取ることで、時計遺伝子への影響を減らすことができるそうです。
時計遺伝子への影響で起きやすいがん
乳癌や前立腺がんでは、大幅にリスクが上がるようです。
激しい交代勤務で、リスクが2倍になるとも言います。乳癌になったら、労災扱いの国もあるそうです。
ステロイドや白血球のリズムが夜には昼の倍になり、がんやメタボへの影響が考えられるようです。
時計遺伝子を元に戻すには、1週間~2週間、それ以上かかるとも言われます。
対策としては、朝食をしっかり摂る、光を浴びて日中しっかり動くこと、だそうです。