舌の症状
胃腸の調子が悪いと、舌がザラザラしたり、舌先に小さな粒ができたりします。また、舌楽天 には、いろんな病気時に出る症状があります。特に色の違いは素人でも判別しやすいものです。
そんな舌の異常な状態を見逃すこと無く、病気の早期発見・早期治療に繋げたいものです。
舌とは
舌とは、物を飲んだり、噛んだり、飲みくだしたり、またしゃべったりする際になくてはならない、味覚や触覚などを持つ、口の中の感覚器のことです。
舌の構造
最表層は、重層扁平上皮に覆われています。舌の下面以外は、舌乳頭と呼ばれる細かい突起が密集し、細かい凸凹構造になっています。
舌の内部は、粘膜の直下まで、筋肉がびっしりとつまり、表面とのせまい隙間(粘膜固有層)は、その筋層をつつむ強靭な結合組織、舌腱膜になっています。
舌内の筋肉の収縮時には、この舌腱膜を足場にして力を出すそうです。舌の内部全体を満たす舌筋群には、舌の内部だけを走る内舌筋と、舌の外と内部とをつなぐ外舌筋とがあります。
内舌筋は、上下、左右、前後それぞれの方向に走る筋線維が入り混じり、これらが協調して収縮することにより、舌の形を変えたりすることができます。
外舌筋は、舌を外側から支えたり、舌を突き出したり、引っ込めたりする位置の変化をさせたりし、下顎骨、舌骨などから出ています。
舌の表面下には、舌腺などの小唾液腺があり、唾液を分泌しています。
病気時に出る舌の症状
舌を日ごろ観察していると、健康状態がよくわかります。というのも、舌の表面は薄い粘膜のため、下の血管や血液の状態を表してくれています。舌の表面は新陳代謝が早く約3日で細胞が交代しているそうです。そこで、今・現在の健康状態がわかるのです。
朝起きて、口を軽くすすいでから、舌を観察します。食後は、食べ物の色などが付いて判断しにくくなります。
白い舌の場合
白い舌になる原因には様々なものがあり、辛い物・熱い物の食べ過ぎや、喫煙などによる舌への刺激、胃や食道の疾患などがあります。肝臓に異変があることがあり、肝臓がんのこともあります。
肝臓にがんができると特殊な物質が出て、舌の乳頭を成長させるので舌全体が白くなってくるそうです。また、皮膚の表面がデコボコになることもあります。また、指にポツポツと小さな粒のようなものがたくさんできることもあります。
しゅうへき舌(ひだ舌)という舌のシワが深い場合、かなり長い期間治らなければ病院を受診します。胃腸が悪い時、舌の使い過ぎ(話す仕事などで)などが原因のこともあるようです。
黒い舌の場合
舌のある部分に黒いシミが出ます。舌の裏側や側面に出ることもあるようです。これは、副腎に異変がある時に表れます。副腎がんのこともあります。副腎がんになると下垂体からメラニン色素が出るからだそうです。
皮膚がんのメラノーマ時にも、舌や指に黒いシミが出ることがあります。2~3週間経っても消えない時には、皮膚科科や口腔外科を受診します。
赤い舌の場合
舌の所々に強い赤みが出ることがあります。萎縮性胃炎のことがあります。萎縮性胃炎は、胃のひだが無くなり、胃の粘膜がつるつるになります。50歳以上の人に多く見られます。
舌全体が赤くなるほどに進行すれば、胃がんの疑いとなります。舌が赤くなるのは、ビタミンB12が吸収されなくなり、貧血になります。貧血になると舌が栄養不足になり、乳頭が育たなくなります。そうすると、乳頭の下の血管が見え赤く見えます。
舌の乳頭が縮んで舌がつるんとした状態の場合には、目の下の内側を確認し白いと、委縮性胃炎による悪性の貧血を起こしている場合があります。
舌が赤くてつるつるしている時は、赤色平滑舌と呼ばれます。これは、鉄欠乏性貧血、悪性貧血、ビタミンB複合体欠乏症、シェーグレン症候群、認知症の疑いなどの病気が考えられます。なので、一度内科を受診されるようにお薦めします。
つるつるになるのは、舌乳頭の萎縮によって、舌の粘膜が薄くなり、下の血管が透けて見えるようになるからです。
まだら舌の場合
舌に赤と白が地図状にまだらに見えることがあります。地図状舌とも言われます。白血球の異変がある時に見られます。嚢胞性乾癬の時にもまだら舌が見られます。この病気は、免疫細胞が暴走し、皮膚に発疹が出たり、関節の炎症、失明にも至ることがあるようです。
ドライマウスの時にも、まだら舌が見られます。
舌の周辺に歯形がついている場合(歯の食いしばり癖)
TCHというTooth Contacting Habit 歯をくいしばる癖によって、舌の周辺に歯形がつくようです。そして、TCHを自覚せずに長く放おっておくと、顎関節症になり口が少ししか開かなくなったり、痛みで寝られなくなったりします。口を閉じている時には、正常の場合には上の歯と下の歯は触ることはありません。
もしも、舌の周辺に歯形がついている場合や歯が触っていると自覚した場合には、意識して歯を離すことです。何かに集中している時やストレスを感じている時によくTCHが出るそうです。
TCHの対策として、前歯の内側に舌の先を着けると良いと聞き、私もこの方法をとっていますが、よさそうです。
厚くて大きい舌の場合
体に余分な脂や水のたまった状態です。体が、むくんでいます。高脂血症、胃腸が悪い人に見られます。・・・きゅうり、冬瓜、とうもろこしが良いそうです。
舌診(舌の状態を見る)
漢方医は問診、脈診、腹診、髪の毛、耳の形、舌診などを総合して診断します。
舌は常に一定ではなく体調により変化しています。胃腸、水分代謝、血液、心(精神状態やストレス)、病気の進行・深さ、元々の体質、体の寒熱性などの様々な状態を表現しています。
正常な舌
- うす紅色の鮮やかなピンク色
- 苔はうっすらと白くついている程度
- 適度な潤いがある
- 程よい大きさと厚み
- 動きが自由である
血行が悪い人の舌
- 舌の裏側の血管が青筋だって見える。(私も経験しました。冬が過ぎる2月ごろに体調が悪くなりました。テレビで舌の裏側の大きな2本の血管が、青黒くなっていたら血行が悪いと医師が言いました。鏡で確かめると、青黒い血管が怒張していました。この改善には、両耳を指で挟んでもみほぐすと良いと教えてくれました。耳の穴、シワのところも、全体をまんべんなく、いた気持ちいい程度に。加えて足の指をもみ、ふくらはぎから太ももへと静脈血が流れるようにマッサージします。その二つをすると、数日で舌の下の青黒い静脈が細く見えるようになりました。皆さんも、ぜひやってみてください)
- 舌の全体が紫色や暗い感じの舌になる
- 舌の端に黒い斑点が出ます。女性の場合は、内膜症の時に出ることもある
元気の源が不足している人の舌
- 舌の表面がつるっとして光る
- 白い苔が舌全体に生える(暖める力の不足、体が冷えやすい、午前中は元気がなく、午後から元気がでる)
潤いの足りない人の舌
- 舌が赤くて口が渇く
- 舌が割れている・・・脱水状態、水分不足の人に見られます。水分や栄養をいくらとっても、高齢者では、吸収しにくい人もいるようです。熱中症の時にも見られます。・・・水分を少しずつ何回にも分けてとります。
体が湿気ている人の舌
- 全体的に白く、中央が割れていることもある
体の水分が不足している人の舌
- 全体的に赤く、乾燥した感じの舌になる
- ほてり、のぼせ、不眠、肌が乾燥してかゆいなどの体の症状が出ることがある
舌診(舌の色など)
- 赤い舌
- 体に熱がこもっている。・・・飲酒、肉類、揚げ物、辛い物の食べすぎを控える。
- 白い舌
- 顔色が悪い、貧血、疲れやすい、食欲不振、寒がり、動くとよけいに疲れるなどの症状があります。血行不良で、体が冷えている。・・・温かい物を食べて、冷たい飲み物を控える。夏場は冷房にも注意する。
- 白くてなめらかな舌(水分が多い舌)
- 体の冷え、機能低下が考えられます。
- 白くて苔がない舌
- 余分な水分の停滞や内臓の機能低下が考えられます。
- 黄色で乾燥した舌
- 熱により体の水分が消耗している状態。白い苔が黄色に変わったら冷えは解消されたが、体内に熱がこもったなど病気の性質が変わったことを表しています。また、消化不良や慢性胃炎の時にも黄色くなることがあるようです。
- 白い舌苔がある舌
- 胃腸が弱り始めている。・・・消化の悪い物、冷たい物を避ける。肉類を控え、胃に優しい物を食べる。
- 黄色の舌苔がある舌
- 体の抵抗力が落ち、胃腸の細菌バランスが崩れている。口臭もきつくなる。・・・白い舌苔よりも不調が長引いている。・・・食事量を減らして胃腸を休める。運動・入浴で老廃物を出すと良い。
- 紫色の舌
- 全身の血流が悪い状態です。・・・肝臓、心臓の機能の悪いひと、高血圧の人に見られます。・・・血流を良くする玉ねぎ、青魚、酢の物が良いです。
- 黒い舌
- 病気か、薬の影響か、質なのか。とりあえず、内科で相談なさってください。
- 白いかたいできものがある舌
- 舌癌の可能性があります。口内炎は、柔らかく、数日~1週間で自然に治ります。舌癌はどんどん悪くなります。早めに口腔外科を受診してください。
舌診(舌の異常な場所から病気を探る)
舌は経路の五臓六腑につながっているそうです。舌の異常のある場所で、内臓の異常がわかります。- 舌の両脇
- 舌の両脇は、肝と胆の異常を表す。ストレスがあると両側が赤くなる。水分過多の場合には、歯の当たる側面がデコボコになります、この場合には、アルコールや冷たい飲み物を控えます。
- 舌先
- 舌先は心と肺の異常を表す。睡眠不足、疲労、心の機能の亢進で舌先に突起ができたり、口内炎になったりする
- 舌の中央
- 舌の中央は、脾(消化器全般)と胃の異常を表す
- 舌の奥
- 舌の奥は腎の異常を表す
口舌ジストニア(口から舌が出る)、ストレスから来る病気
50歳代女性は、仕事のストレスから、話そうとすると舌の筋肉が緊張して舌が口から出てしまうようになったそうです。
「口舌ジストニア」は、舌や首、腕などの特定の筋肉が、動作時などに必要以上に緊張して起こる「異常姿勢・異常運動」だそうです。舌筋に強い緊張が起こると、常に、あるいは口を動かした時に「口から舌が出る」状態となるそうです。
治療方法は、少量の局所麻酔薬を舌筋に繰り返し注射して緊張をとるようです。症状が完全に消えた患者さんもいるようです。神経内科など専門家への受診が必要です。
よく似た名前の病気に「口舌ジスキネジア」というのがあるようです。「口舌ジスキネジア」は、口の周りの複数の筋肉が、意思と関係なく勝手に動き、精神科の薬などの副作用としてよく起こるそうです。
「口舌ジスキネジア」の治療は、原因の薬を減らしたり、中止したりします。それでも続く場合は、効果的な薬は少なく治療に難渋するようです。