骨粗しょう症
骨粗しょう症は閉経後の女性に多く、骨がもろくなることでちょっと転んでも背骨や大腿骨を骨折し、寝たきりの原因になると言われています。
最新の治療法も2010年10月に出たそうです。骨粗しょう症の薬や予防法について調べたいと思います。
骨粗しょう症とは
骨粗しょう症は、鬆(す)が入ったように骨の中がスカスカの状態になり、骨がもろくなる病気です。骨がスカスカになると、立ち上がる、つまづくなどのわずかな衝撃でも骨折をしやすくなります。
骨は常に生まれ変わっています。古い骨を壊す破骨細胞と、新しい骨を作る骨芽細胞のバランスが崩れると骨がもろくなります。また、カルシウム不足になると骨がもろくなります。
気づかない骨折
骨粗しょう症は自覚症状の乏しい病気で、背中が丸くなる、身長が縮むといった症状は徐々に起こるためなかなか病気であると気がつきないようです。気がついたときには病状がかなり進行していたということもあります。
骨粗しょう症楽天 によりもろくなった骨は、体の重みが加わるだけで潰れてしまい、これが圧迫骨折です。圧迫骨折が起こると背骨が曲がったり、身長が縮んだり、痛みが出たりします。しかし、痛みでないこともありますので、日ごろの自己チェックが必要です。
骨粗しょう症の症状
- 背が縮んだような感じがする。実際に身長が縮んだ。
- 背中や腰が曲がったような感じがする。
- 背中や腰の痛みのために動作がぎこちない。
- 腰が痛いが、レントゲン検査では、椎間板や脊柱管に異常がない。
- 息切れしやすい。
- すぐにお腹がいっぱいになる。姿勢が悪くなり、服がにあわない。
- 掃除がおっくうになった。
- 洗濯物を干す、外出が辛くなった。
4cm以上身長が縮んだ人は積極的に骨密度検査やレントゲン検査を受けることが推奨されています。
骨粗しょう症の検査法
骨粗しょう症の検査は、エックス線で骨の中のカルシウムなどのミネラル分の密度・骨密度を測ります。
レントゲン検査では、主に背骨(胸椎や腰椎)のX線写真を撮り、骨折や変形の有無、骨粗しょう化の有無(骨がスカスカしているかどうか)を確認します。
他にもDXA・デキサ法(エネルギーの低い2種類のX線を使って測定します。全身のほとんどの骨を測ることができ、腰の骨(腰椎)で測定すると最も早く病気を発見できます。)
超音波法は、踵・かかとやすねの骨に超音波をあてて測定する方法です。MD(エムディ)法は、X線を使って、手の骨と厚さの異なるアルミニウム板とを同時に撮影し、骨とアルミニウムの濃度を比べることによって測定する方法です。
骨密度が20~44歳の女性平均の70%未満だと、薬物治療の対象となります。病院の整形外科などで受けることができます。自治体によっては、40歳以上の女性を対象に5年ごとに検査している所もあります。
骨密度が基準の80%以上の場合は正常です。骨密度が基準の70~80%の場合は骨量減少(要注意)の状態です。骨密度が基準の70%未満の場合は骨粗しょう症で、薬物治療の対象になります。
身長測定では、25歳のときの身長と比べどのくらい縮んでいるかが、骨粗しょう症の指標になるそうです。
骨粗しょう症の原因
- 加齢による骨量の低化
- 閉経後の女性ホルモンの減少による骨密度の低下
- ダイエットによる栄養不足
- 他の病気が原因の骨粗しょう症・・・バセドウ病などの甲状腺機能亢進症、関節リウマチ、糖尿病などの病気や、胃切除後、ステロイド薬の長期内服などでも骨粗しょう症の原因となります。
70歳以上の女性の50%、男性の20%が骨粗しょう症と言われます。また、日本人は体質的に5人に1人の割合で(欧米人の2倍)、骨質の悪くなる人がいるそうです。日本人は、骨粗しょう症になりやすいのです。それは、コラーゲンがサビつく原因となるホモシステイン(血液中のアミノ酸の一種)が上昇しやすいからです。コラーゲンは、骨の強さや骨の柔軟性をもたらしています。
新型骨粗しょう症の治療法
骨密度が高い(96%でも)のに骨折する人がいて、調査した結果、骨のコラーゲンが大きく関係していることがわかりました。骨粗しょう症とコラーゲンの関係について研究されているのは、斉藤充・東京慈恵医大・整形外科医(43)さんです。「夢の扉」で紹介されていました。
骨粗しょう症は、カルシウムを摂取するだけでは改善されないことがわかりました。骨粗しょう症の推定患者は、1000万人とも言われています。斉藤充医師は、骨質(こっしつ・こつしつ)を取り入れた新たな治療法を作り出されています。
骨のコラーゲンの研究・東京慈恵医大、斉藤充整形外科医
骨を建物に例えると、鉄筋に相当するコラーゲン50%とコンクリートに相当するカルシウム50%の二つで成り立っています。
コラーゲンは、繊維状になって骨の中に存在します。コラーゲンは、アミノ酸の結合体で骨に柔軟性をもたらせています。
ところが、この大切なコラーゲンに悪いアミノ酸の結合体が着くと、骨が茶色に変色し柔軟性がなくなり弱い圧力でも骨折してしまうようになります。健康な骨が24kgの圧力で折れましたが、コラーゲンが変質したサビた骨では半分の12kgの圧力で骨折してしまいました。
骨折と骨密度や骨質との関係
骨密度が良く、骨質が悪い人は、骨折のリスクが健康な人と比べて1.5倍だそうです。
骨密度が悪く、骨質が良い人は、骨折のリスクが健康な人と比べて3.6倍だそうです。
骨密度が悪く、骨質も悪い人は、骨折のリスクが健康な人と比べて7.2倍と上がるそうです。
骨質とは、骨の中のコラーゲンの状態のことです。骨質が悪いとは、コラーゲンがサビついた状態のことです。なぜコラーゲンがサビつくのかというと、血液中にあるホモシステイン(血液中のアミノ酸の一種)が増えると悪さをします。
コラーゲンをサビさす、ホモシステインが増えるのは、どうして?
- 新陳代謝が悪いとホモシステインは増えます。
- 高齢者はホモシステインが増えてきます。
- ファーストフードをよく食べる若者もホモシステインが増えます。
- 日本人の5人に1人は、ホモシステインが増えやすい体質といえます。欧米人の2倍と言われます。
東京慈恵医大、斉藤充整形外科医の研究・取り組み
斉藤充医師は、血液や尿を検査するだけで骨のコラーゲンを測れる装置を自分で改造して作り出して研究したそうです。
骨粗しょう症に重大な影響をあたえる「骨質」にたどり着きました。整形外科医として、50人の入院患者さんの治療にあたる傍らで、患者さんの役に立つ研究をしたいと、少ない時間をやりくりしておられます。
実験のサンプルが無駄にならないように、重要な場面では泊まりこみもされます。また、骨質の検査を保険適応にするための取り組みもされています。
たくさんの骨粗しょう症の患者さんが、寝たきりにならないように、骨質の改善治療法が早く確立することを望みたいと思います。
骨質の改善策は
食生活の改善
骨のコラーゲンのサビつき防止の食生活の改善としては、ビタミンB12と葉酸を十分摂取することです。ビタミンB12は、サンマ、鶏のササミ、マグロの赤身などに多く含まれています。葉酸は、ニンニク、ブロッコリーなどに多く含まれています。
薬の開発
斉藤充医師は、骨質を改善する治療薬の開発に努力されています。2015年までには、骨質を改善する新たな治療法を患者さんへ届けたいと言われています。
骨粗しょう症の予防法
食事療法
カルシウム、ビタミンD、ビタミンKなど、骨密度を増加させる栄養素を積極的に摂り、骨を丈夫にするのが骨粗しょう症の食事療法です。カルシウムを多く含む食品には、牛乳、乳製品、小魚、干しエビ、小松菜、チンゲン菜、大豆製品などがあります。ビタミンDを多く含む食品には、サケ、ウナギ、サンマ、メカジキ、イサキ、カレイ、シイタケ、キクラゲなどがあります。ビタミンKを多く含む食品には、納豆、ホウレン草、小松菜、ニラ、ブロッコリー、サニーレタス、キャベツなどがあります。最近、きび酢が注目されています。酢の中でも断トツにカルシウムを含んでいます。米酢の8倍と言います。与論島のサトウキビを3年発酵させて作ったものです。
蜂蜜・ハチミツには、数百種のポリフェノールが含まれていて、破骨細胞の働きを抑えて、骨芽細胞とのバランスを良くしてくれます。骨の老化を抑えてくれます。また、体脂肪がつきにくいそうです。食後の血糖値を上げにくくしてくれます。毎日の食生活に少し加えてみるのも良さそうです。
運動療法
日常生活のなかで階段の上り下りや散歩などを取り入れ、運動量を増やす方法が長続きします。骨密度の低下防止にとくに有効な運動は、ウォーキング、ジョギング、エアロビクスなどです。片足立ち(フラミンゴ体操)や、背筋を伸ばす運動なども、気づいた時にこまめに実施することが大切です。
転倒を防ぐ
転倒すると、背骨(胸椎・腰椎)と手首、腕の付け根の骨、足の付け根の骨(大腿骨頸部)を骨折することが多いです。大腿骨頸部骨折では、体を支える働きが奪われ寝たきりになる原因の1つとなります。大腿骨頸部骨折の85%は転倒が直接的な原因です。歳を取り、視力が低下して足腰の筋力も衰えてくると転びやすくなります。
骨粗しょう症の治療薬
ビスフォスフォネート
商品名は、ボナロン、ベネット。飲み薬で、骨を溶かす働きを強力に抑え骨密度を増やす効果もあります。起床してすぐに飲みます。服用後30分は食事や横になるのを控えます。胃腸の荒れを招きやすいのが難点です。
SERM製剤
商品名は、エビスタ、ビビアント。飲み薬で、骨を溶かす働きを抑えます。更年期症状(ほてりやのぼせ)があると悪化することもあります。
エストロゲン
商品名は、エストラーナ、ジュリナ。飲み薬、貼り薬。骨を溶かす働きを抑えます。黄体ホルモン剤と併用します。(手術で子宮を切除している場合を除く)
デリパラチド
商品名はフォルテオ。自分で1日1回注射。費用は1ヶ月約1万6000円(3割負担の場合)骨を作る働きを強く促します。治療期間は18ヶ月までです。治療を終えた後は、ビスフォスフォネート製剤などでの治療を続けます。(デリパラチドは、2010年10月保険適応されました。骨粗しょう症による骨折の経験がある人、従来の薬では骨密度が維持出来ない人など症状の進んだ人が対象となります)
活性型ビタミンD3
商品名は、ワンアルファ、アルファロール。飲み薬、カルシウムの吸収を助け骨を作る働きを促します。定期的に血液中のカルシウム量の検査をします。
ビタミンK2
商品名はグラケー。飲み薬、骨を作り替えるバランスを整えます。血栓症の薬(ワーファリン)とは併用できません。
カルシウム
飲み薬、骨の主成分になります。他の薬との併用が多いです。
骨を丈夫にする方法
骨を丈夫にする方法を、テレビで専門医が教えていました。
1.ジャンプする。・・・垂直方向に力がかかると、骨に効くそうです。縄跳びが良いが、エアー縄跳びでも良い。
2.必要な日照時間を知ろう・・・日光に全く当たらないと、ビタミンDが不足して骨が弱くなります。ビタミンDは、カルシウムの吸収を助けます。日本は南北に長い国なので、季節や地域によって必要な日照時間が異なります。8月の一番暑い時には、半袖でもあるし、5分で良い場所でも、12月ともなれば、30分(沖縄)必要になります。12月中旬で、関東で65分、札幌で300分と違ってくるそうです。当たりすぎは、皮膚がんのリスクが増えます。有害となる時間の1/3が良いそうです。サプリメントを利用しても良いですが、量には注意が必要です。
3.骨をつよくする3つのトリオ・・・カルシウム、マグネシウム、たんぱく質です。カルシウムは、牛乳、小魚、桜えび、大豆製品、小松菜、きび酢などに多く含まれます。マグネシウムは、納豆、しらす、わかめ、ごま、アーモンドなどに多く含まれています。たんぱく質は、鶏のささ身、いわし、卵、豆腐、乳製品などに多く含まれています。これらの3つをバランス良く取り入れてください。
運動して、食べて、日光に当たることが、骨を強くしてくれます。