顎関節症
身近に顎関節症楽天 に罹った人がいますが、口が大きく開かないことやあごの痛みで困っていました。顎関節症になると顔のゆがみ(口が斜めになる、左右の目の高さが違うなど)が出たり、全身への歪みが現れることもあって早めに対処をした方がよさそうです。
顎関節とは
顎関節は、耳のあなの少し前の上方(こめかみの下辺り)にあり、指を当てて口を開閉すると動きます。
顎関節は、骨と軟骨組織で構成されています。骨は3つの部分があり、下顎の骨の突起部分(下顎頭)、側頭骨のくぼみ部分(下顎か)、関節結節となっています。軟骨組織は、関節円板、靱帯、関節包などです。
顎関節症の症状
- 顎(あご)の痛み
- 口が大きく開かない
- 顎が鳴る(カクカク、ジャリジャリ、ミシミシ)
- かみ合わせが変わった
- 口を完全に閉じられない
- 朝起きた時に頬が張る感じがする
- 頭痛、肩こり、めまい、耳の痛みがする
- 自分では気がつかなかったが、歯ぎしりをしている
3の顎が鳴る(カクカク、ジャリジャリ、ミシミシ)だけの症状の場合は治療は必要ないそうですが、顎関節症の予備軍として食生活、生活習慣などに気をつけられた方がいいと思います。
顎関節症の特徴
10代半ばから高齢者まで幅広い年代がかかるようですが、特に20才代~30才代が多く女性が男性の2~3倍多いそうです。骨や靱帯が女性の方が弱いことや女性ホルモンとの関係、女性の方が痛みに敏感などの理由があるそうです。
しばらく安静にしたら治る人から手術や薬の必要な重症の人まで顎関節症は幅が広いようです。
顎関節症の人が気をつけること
- 歯のくいしばり(TCH Tooth Contacting Habit)、歯ぎしり、歯をカチカチと鳴らすなどを止める(精密作業や重い物を持つ仕事中、パソコンに向かっている時など無意識のうちに歯に力を入れてかんでいることが多いそうです。張り紙「歯をかまない」「リラックス」など書いて自分に注意を喚起するのも効果があるそうです)
- 歯の左右の一方だけを使って食事をしない。左右をバランスよく使うようにする
- ストレスによる強いかみしめを止める
- 頬杖、うつぶせ寝、猫背、爪をかむ癖などを止める。肩とあごで電話機をはさんでの長電話はよくないようです。
歯ぎしりにも、良い歯ぎしりと悪い歯ぎしりがあるそうです。悪い歯ぎしりは音もせず60kgほどの力で奥歯をかみしめているそうです。ふつうの食事で20kg~30kgでかんでいるそうですから、歯がすり減りそうです。
普通の人で上下の歯の接触は食事などを含めても1日20分にみたないそうです。
歯のくいしばり(TCH Tooth Contacting Habit)について
歯のくいしばり、TCHとは、口を閉じている時に上下の歯が軽く触っている状態です。歯は、通常は物を噛んでいる時、会話している時、飲み込む時にしか、上下の歯は触れ合いません。
上下の歯が触れていると、咬筋や胸鎖乳突筋が働き疲れを起こします。すると、僧帽筋までも疲弊し、肩こりを感じるようになります。
集中している時、ストレスを感じている時に歯のくいしばりが起きていますから、注意が必要です。歯の食いしばりが長期間続くと、顎関節症になります。ある人では、7年間歯のくいしばりの末に顎関節症になったそうです。
歯のくいしばり、TCHがあるかどうか、自分で見つける方法があります。手鏡で自分の舌を見ます。舌の縁、特に先の辺りに歯形が残っているかどうか調べます。舌に歯形があるようでしたら、歯のくいしばりがあるそうです。
歯のくいしばりの予防は
歯のくいしばりの予防には、前歯の裏側に舌の先をつけるという方法があります。私も意識してこの方法を取り入れています。
また、「歯を離す」という張り紙を家の中で、目に付く場所に10ヶ所以上貼って、折々に見るという方法もあるようです。
顎関節症の原因
顎関節症の原因の特定は、困難だそうです。
生活習慣(楽器の長期練習)、職業環境(パソコンの長期使用)、悪習慣(夜間の歯ぎしり、日中のくいしばり)などに影響されます。また、歯並びやかみ合わせの影響もあるそうです。
歯並びが悪いところに、ストレスなどによる強いかみしめ、歯ぎしりをすることであごに負担をかけ、関節円板が前にずれてあごの動きに障害が起きます。
最近では、食事以外の時に上下の歯を接触させる歯牙接触癖(しがせっしょくへき)の悪影響が明らかになっています。
腫瘍や重篤な病気が隠れている時もありますから、雑音だけでなく痛みを感じたら、歯科口腔外科での受診をおすすめします。
顎関節症の分類と診断基準
- 顎関節症1型(咀嚼筋障害)
- 顎を動かす時に咀嚼筋などの痛みがある
- 顎関節症2型(関節包・靱帯障害)
- 顎を動かす時に顎関節の痛みを訴え、触診すると顎関節の圧痛がある
- 顎関節症3型(関節円板障害)
- 口の開閉時に、雑音や引っかかりがある。口を閉める時やかみしめ時に痛みがある
- 顎関節症4型(変形性関節症)
- 顎関節の痛みや開口障害、口の開閉時の雑音のうち、少なくとも1つ以上の症状があり、X線検査などにより骨の変形が確認できる
- 顎関節症5型(1から4に当てはまらないもの)
- 顎関節症は、上の5つのタイプに分けられます。この中で最も症例数の多いのが、顎関節症3型(関節円板障害)で、関節円板の変形やずれに起因するものです。この場合治療によって円板が元通りになることはないそうです。外科手術をしても再発する可能性が高いと言われています。
しかし、開口訓練や日常生活の見直しで、数ヶ月で自然と痛みが治まり、口も開くようになる人が、大半だそうです。30年を過ぎても良い状態を維持できているという人もいます。
安静指導(痛み、開口障害の期間が3ヶ月未満)
- 食べやすい物を食べます。「かみしめ」などの悪習慣、歯牙接触癖の改善
- 非ステロイド系鎮痛薬や筋弛緩剤などによる薬物療法
- 筋肉マッサージ、顎運動練習、低出力レーザーなどの理学療法
保存療法(痛み、開口障害の期間が3ヶ月以上で、痛みが軽い場合)
- 開口訓練・・・強制開口訓練は単純に口を大きく開ける訓練です。器具を用いても良いし、簡単にに手指でこじ開けても良いそうで、片手の人差し指、中指、薬指を3本縦に閉じて大口を開けて入れます。
外科的療法(痛み、開口障害の期間が3ヶ月以上で、痛みが強く開口訓練が困難な場合)
- 生理食塩水や局所麻酔剤の注入と回収で関節腔を拡張させた後、薬剤を注入し、下顎頭を牽引するパンピングマニピュレーション
- 関節腔内を加圧した薬液で洗浄し、その圧力で癒着をはがす加圧洗浄療法
顎関節症の治療法
- 顎関節症の原因を調べ取り除きます。
- 顎関節症の痛みを取るために、患部を温めたり冷やしたりします。
- 運動をして口や顎が開くようにします。・・・大口を開け5秒間続けます。「アイーン」の格好で下顎を前に出したまま5秒間続けます。この二つを1日3回行います。
- スプリントという装具を用いて、歯ぎしり、食いしばりを緩和させます。
- 薬を用いて、炎症や痛みなどを抑えます。
- いろいろと試しても改善しなければ、外科的手術も行われます。
- 以前はかみ合わせ治療として、正常な歯を削ることもあったようですが、今では軽症の顎関節症は、かみ合わせを変えたりしないようにしています。
- 全身に痛みが続く「繊維筋痛症」と顎関節症との関連が研究されています。アメリカでは、この二つの病気を合わせ持つ人が多いようです
福岡県の山田貴志歯科医と厚労省などが、この関連を調査・研究しているようです。山田歯科医は、頬の外側翼突筋の緊張により脳の視床下部で痛みを感じ、それが全身に痛みを感じさせているのではないかと考えられています。外側翼突筋の緊張を和らげるなどの処置をすることで、繊維筋痛症が半年で痛みが改善した人もいます。山田歯科医は翼突筋除痛療法(中枢性の反射現象を利用した咬合治療のテクニック)で痛みを改善させています。2009.6.11
顎関節症の氾濫する情報に注意
2700人の企業で調査をしたら、約16.4%の人が顎関節症の3大症状のいずれかの症状や重複の症状がみられたそうです。
また、日本顎関節学会の調査では、顎関節症の疑いのある人は男性の約10%、女性の約17%が該当するという報告があります。
多くのひとに顎関節症の疑いがあるためか、いろんな情報が氾濫しています。顎関節症との関連が不確実な症状まで、顎関節症であるかのような誤解を与える情報もあるそうです。
また、時間の経過で自然に治る程度の人にまで、不必要な治療を勧めている場合もあるようです。指3本を縦に並べて入れば顎は元気ですし、音がしても痛みがなければ治療の必要はありません。
治療と平行して、自らできる生活習慣の改善などの自己管理がとても大切になってくるそうです。