子宮がん
2010年に子宮頸がんのワクチンが公費で行われることが決まり、早期に公費でワクチン接種できることになり喜んでいました。しかし、その後子宮頸がんのワクチンを受けた少女たちの一部に様々な副作用とみられる症状が出たことで、ワクチン接種は2013年に勧奨は止められました。2018年6月で丸5年になることから、ワクチンの有効性安全性について検討されている所です。
子宮がん患者は、年間約17,500人で、そのうちで子宮頸がんが約8,500人、子宮体がんが約8,200人、どの部位か情報がない子宮がんが約800人となっているそうです。(全国がん罹患モニタリング集計2005年報告、上皮内がんを除く)
子宮がんで死亡された方は、約5,700人、そのうちで子宮頸がんが約2,500人、子宮体がんが約1,700人、どの部位か情報がない子宮がんが約1500人となっているようです。(人口動態統計2008年)
子宮体がん
子宮体がんは、年間8000人が発症しているようです。ここ30年で9倍に増加したと言われています。子宮頸がんによる死亡率は減少していますが、子宮体がんの方は最近急激に増えているそうです。
子宮体がんは、子宮の内側をおおう内膜に発生するがんです。子宮体がんは、食生活の欧米化、とくに脂肪の摂取量の増加が関係しているのではないかと言われています。
子宮体がんは、性交渉とは関係がなく、女性ホルモン(エストロゲン)と関係が深いがんです。妊娠経験のない人や無排卵などの排卵障害のあった人、また肥満や糖尿病、高血圧の人も、ホルモンバランスが崩れて子宮体がんになりやすい傾向があるようです。
食生活の欧米化や肥満が体がん増加に関係していると言われるのも、ひとつにはエストロゲンという女性ホルモンが、脂肪に溶けているためです。また、閉経後は、卵巣からのエストロゲンの分泌は停止しますが、卵巣や副腎から分泌されるアンドロゲン(男性ホルモン)は、脂肪細胞でエストロゲンに変化します。これも、閉経後の子宮体がんの発生に関係しているのかもしれません。
子宮体がんの発症も、50歳前後に多く、最近では閉経後の子宮体がんが増加しているので閉経後の子宮がん検診も必要です。
子宮体がんの症状は、月経量が増えることだそうです。
子宮頸がんワクチンが無料に
2010年10月8日、ついに政府は、若い女性が発症する子宮頸がん、乳幼児の細菌性髄膜炎などを予防できるインフルエンザ菌b型(Hib・ヒブ)、小児用肺炎球菌のワクチンについて、希望者が原則無料で接種できるよう公費補助を行う方針を固めました。
子宮頸がんワクチンは、主な2種類のヒトパピローマウイルスについてのワクチンですから、ワクチンを接種しても定期検診は忘れないようにしてください。
子宮頸がんワクチンは、半年間に3回受けます。20年間の効果があるようです。
子宮頸がんの7割は、ワクチンで防げると言われています。若い女性は早期の検診や予防接種が、将来生まれる命も救うことを胸に刻んで欲しいと、兵庫県立がんセンター院長は言われています。
子宮頸がん
子宮頸がんは、40~50歳代の女性に一番多く発生していますが、20~30歳代でも頸がんになる人はいます。最近は20代で0期の頸がんが多く発見されるそうです。これは、頸がんが性交渉と深く関係していることが大きな原因です。
現在は30代後半がピークとなり、10万人当たり約35人になっています。
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスというウイルスの感染が原因の一つとみられています。これは、イボを作るウイルスの一種で性行為で感染することがわかっています。ヒトパピローマウイルスに感染してもとくに症状はないので、がんになる前にウイルスを駆逐することは難しいのが現状です。
がん検診の普及によって早期発見が増え、死亡者が減っています。子宮頸がんの検診は、頸部の細胞をこすりとって直接細胞の形をみます。そのため、検診としての精度も非常に高いのです。
子宮頸がんも早期発見が、非常に大切です。性交渉を持つようになれば、誰でも子宮頸がんになる危険性があります。とくに、若い頃から複数の人と性交渉を持つ人は、子宮頸がんが発生しやすいと言われています。
子宮頸がんは、子宮頸がんワクチンを打ち、そして、定期検診を受けることで、100%予防できるそうです。
妊婦の子宮頸がん増加
2010年10月17日の読売新聞によると、大阪吹田市の国立循環器病研究センターと兵庫県立がんセンターによる調査によると、子宮頸がんの発症のピークが中高年から若い世代に移行し、出産年齢は逆に高くなったために、子宮頸がんの発症と妊娠の時期が重なるようになったことがわかりました。
産婦人科などの全国1500施設に昨年子宮頸がんと診断された妊婦や出産直後の患者についてアンケートが行われました。51%の施設から回答が得られ、162人(平均年齢31.7歳)に上ったそうです。
子宮の一部切除で妊娠を継続できる早期がんは、約70%でしたが、子宮の全摘が必要で中絶の対象になる進行期患者27%にあたる44人いました。結果から推計した罹患率は、10万人当たり約30人以上に上るそうです。
子宮頸がんの妊婦、出産
妊娠中に子宮頸がんと診断され、大阪大病院で今年6月に妊娠したまま子宮頸部の大部分を摘出する手術を受けた主婦(28歳)が、女の子を無事出産しました。
通常は中絶になるケースで、このような手術を受けた妊婦が出産したのは、国内初といいます。
主婦は、妊娠8週の検診でがんと診断されました。病巣は、子宮頸部をやや越えて広がっていて子宮全摘出の対象でしたが、出産希望が強く、妊娠15週に「広汎子宮頸部摘出」という手術を行いました。
経過は順調で、妊娠37週のこの日に帝王切開で赤ちゃんが誕生しました。母子ともに健康だそうです。
この手術は、子宮頸部と周辺部を切除するが子宮本体は温存する新手法で、国内では5年ほど前から270人以上の実施例があります。対象は、リンパ節転移がなく病巣が2cm未満などの条件を満たす患者となります。しかし、妊婦の場合には、流産のリスク、大きな子宮が手術の視野を狭める、妊婦で血管が膨張するなどの危険性があり、ほとんど行われませんでした。
大阪大病院・榎本准教授は、「今回は、特殊ケース、症例を積み重ねて安全性などを検討する必要があるが、今後の手術の選択肢の一つになる可能性はある」と言われています。2010.11.26
子宮がんの特徴・比較
- 子宮頸がん
- 20~30歳代に多く見られます。ヒトパピローマウイルス(性交渉で感染)が原因の一つです。(ヒトパピローマウイルスには、約100%の人が感染するようですが、9割の人は、免疫力で発症しないそうです)
- 子宮体がん
- 40歳代後半~60歳代に多く見られます。エストロゲンの影響で発症します。妊娠経験のない人、太っている人に多いそうです。年間8000人が発症しています。30年前の9~10倍に増えているようです。
子宮がん楽天 の症状
月経時以外の出血(不正出血)、ピンクや茶褐色のおりものを見つけたらすぐに検査を受けましょう。子宮体がんの約90%の人に不正出血が見られたそうです。
性交による刺激で出血を起こす接触性出血の場合もすぐに検査を受ける必要があります。
不正出血の繰り返しや常にピンクや茶褐色のおりものが見られると、がんも進行している可能性があります。さらに進むと痛みが出たり、全身状態が悪くなることもあります。
体がんの場合は、がんになる前の状態(子宮内膜増殖症)でも不正出血が出ることがあります。症状が出ても、進行がんとは限りませんし、進行がんの段階でも不正出血のない人もいます。やはり定期的な検診が大切です。
不正出血を見逃さないためにも、月経周期を記録しておくことが大切です。月経が始まった日から次の月経が始まる前の日までが月経周期です。
子宮頸がんの症状
子宮頸がんのおりものは、魚の腐ったような臭いだそうです。そして、不正出血があります。大便の時に出血した人、毎日出血した人もいます。
また、おりものの色が、褐色のように濃くなるようです。通常のおりものは淡い黄色です。
子宮頸がんは、初期には症状がありません。現在20~30歳代に急激に増えているそうです。95歳の子宮頸がんの患者さんもいたそうですが、免疫力の低下で発症したとみられています。
子宮がんの検査
市町村の検診などを使って、定期的に検査を受けましょう。日本の子宮癌の検診率は24.5%ですが、イギリスでは78.4%と高くなっています。自分だけは大丈夫と思わないで、自分のために検診を受けましょう。
- 子宮頸がん
- 細胞診と言って、綿棒やブラシなどで子宮頸部をこすり、細胞を採取して顕微鏡でみる検査です。集団検診でも行われています。コルポスコープ検査と言って、コルポスコープという拡大鏡のような機器を使って、子宮頸部の疑わしい部分を詳細に観察します。さらに、異常があればその部分の組織を取ってきて、検査をします。
- 子宮体がん
- 内膜細胞診と言って、細いチューブを腟から子宮の中に入れて子宮内膜の細胞を吸引採取したり、挿入したブラシでかきとった細胞を調べる検査で、多少痛みがあるようです。細胞診と言って、キューレットと呼ばれる細い金属棒の先に小さな爪のある道具で、子宮体部の組織をかきとり、顕微鏡で検査する方法で、少し痛みがあり、出血が数日続くこともあるそうです。
子宮頸がんの治療
- 手術、放射線、抗がん剤による治療が行われます。
- 外科的治療法
- (1)レーザー治療や高周波治療(2)円錐切除術(3)子宮摘出術(単純子宮全摘術、広汎子宮全摘術、骨盤内ぞう全摘術)
- 放射線療法
- 体の外からがんにむけて放射線を照射する方法(外照射)と腟と子宮腔の中に放射線を出す小さな線源を入れて、直接がんに放射線を照射する内照射という方法があります。手術と併用する場合と放射線だけで治療する場合があります。
- 抗がん剤治療
- 抗がん剤は作用が全身に及ぶので転移したがんなどを対象に行われます。子宮頸がんは抗がん剤が効きにくいため、単に抗がん剤を投与するだけではなく、放射線療法と併用したり、抗がん剤を先に投与して頸部周囲のがんを縮小させてから手術で摘出するなどの方法も行われています。
子宮体がんの治療
手術、放射線、抗がん剤やホルモン療法なども行われます。基本は手術だそうです。
- 外科的治療法
- (1)単純子宮全摘術と附属器の切除(2)広汎子宮全摘術
- 放射線療法
- 子宮頸がんと、ほぼ同じ治療法です。
- 抗がん剤治療
- 子宮頸がんと、ほぼ同じ治療法です。
- ホルモン療法
- 黄体ホルモン(プロゲステロン)の働きをする薬を服用します。