境界性パーソナリティ障害
境界性パーソナリティ障害と言う病気があることを初めて知りました。境界性パーソナリティ障害は、若い世代に多く発症し、自殺との関わりが深いそうです。
そして、発症の原因がわからず、診断も難しいので、病院での治療も断られるという事態も起きているそうです。家族会ができているようですから、境界性パーソナリティ障害の症状がある方は、調べて入られてはどうでしょうか。
境界性パーソナリティ障害とは
境界性パーソナリティ障害は、10代20代の若い世代に多く発症しています。
境界性パーソナリティ障害は、アメリカでの発症率は1~2%と言われています。日本でも同じ程度の発症率と考えられています。
ある病院の精神科の入院患者150人の60%が境界性パーソナリティ障害だったそうです。そして、退院後2年での自殺などの再発率は、うつ病で35%、境界性パーソナリティ障害では67%と高いそうです。
境界性パーソナリティ障害の症状
境界性パーソナリティ障害に罹った若い女性の症状です。
- 家族、友人に見捨てられる不安・虚無感・空虚感を訴えます。
- 依存と攻撃の症状があり、感情が激しく変化します。
- 衝動的な自傷行為をすることがあります。自殺も増えています。
境界性パーソナリティ障害は、「感情のジェットコースター」と言われるほど気分の波が激しく、うつ病楽天 も併発するようです。今までは、性格の問題と片付けられたことも多かったようです。
境界性パーソナリティ障害のきっかけ
この女性の場合は、勤め先で自分の意見を否定され続けたそうです。そして、仕事を辞めました。
生きていてもしようがない、手首を切った、高い所から飛び降りようとしたなどの行動をとっています。
また、妹を頼り切る姉に翻弄されました。例えば「勤め先に、今すぐ帰ってくれないと死ぬ」とか電話がかかってくるそうです。
エスカレートしていく姉に、妹も自分も追い込められて、姉と一緒に死のうかと思うこともあったそうです。
きっかけから症状、その2
19歳女性は、2年前に境界性パーソナリティ障害と診断されました。小5の時に学校で友達の輪に入れなくなりました。苦しい気持ちに気付いて欲しいと、カッターで手首を切りました。
手首を切った時には、不安がなくなりました。それでハマってしまい、左手は傷だらけになりました。全部で300針も縫いました。常に自分を見ていて欲しいという気持ちがあるそうです。
ちょっとした、母親の言葉にポットの湯を自分の手にかけたり、窓のガラスを割ったり、シートベルトで首をしめたりしました。自分の気持ちをコントロールできないことを悩んでもいます。
「愛して欲しい」「離れていかないで」「感情をどうしたらいいの」「生きる価値がないと思う」「自分がこの世にいなくなっても何も変わらない」
きっかけから症状、その3
19歳女性、境界性パーソナリティ障害と診断されました。高卒後、第一希望の会社に就職しましたが、3ヶ月後に辞めました。気分が落ち、週1回精神科へ通院しました。
泣くことが多く「死なせて欲しい」と言うので、片時も目が離せなかったそうです。次第に感情のコントロールができなくなっていったそうで、発病から1年で亡くなりました。父親は、娘は自分の理性が崩れていくことを心の奥で感じていたのだと思うと、言われています。
境界性パーソナリティ障害と自殺との関係
自傷や自殺未遂の患者さん120人を2年間追跡調査された医師の結果では、6割に境界性パーソナリティ障害が見られたそうです。そして、20~30代の若者が多いということです。
2年後の再発率で言うと、統合失調症などでは35%ですが、境界性パーソナリティ障害では、67%という高い再発率になっているようです。
適切な診断と治療方法は
本人に攻撃性があると言うと、10カ所の病院での診療を断られたそうです。
医師にも見放され、どこへ行けばいいのか、辛かったそうです。そして、患者会を作ってお互いの情報を交換したり、励まし合ったり、何かの解決の糸口になればと、相談する窓口を作ることにされたそうです。
アメリカでは、人口の2%が罹っています。日本では、まだ調査が行われていません。
心理療法の重要性
今の所、カウンセラーとの対話で心理療法を行うことが重要だそうです。日本では、診療時間の長さに応じて診療報酬が上がるようにできていないので、こういうきめ細かい心理療法も、難しい面があります。
こういう治療法としての心理療法には、それ相当の診療報酬をつけて欲しいと思います。
オーストラリアの心理療法
オーストラリアには、境界性パーソナリティ障害の人の専用施設があります。ここでは、医師や臨床心理士が心理療法を行っています。
この専用施設は、メルボルンにあり、12年前から心理療法が行われています。2500人が治療を受け、2年程で自傷行為を止めさせています。また、電話でも家族の相談にのっています。
日本の自殺対策は、中高年対策のみとなっています。日本での心理療法は、儲からないために取り組む病院が少ないようです。
境界性パーソナリティ障害の専門医が診察室での診療のみの点で支えている体制を、面で支える体制に早急に変えていかないといけないと言われます。
境界性パーソナリティ障害の原因と考えられるもの
- 脳の機能異常があるのではないか。
- 社会・文化的な要因も関与しているのではないか。先進国や都市部に多いこととの関連はどうか。
- ストレスの多い養育環境だと発症しやすいそうです。
- 30、40、50歳代になると落ち着いてくるようになります。年を取ると患者さんは良い方向へ向かいます。
境界性パーソナリティ障害の現在の対策
- 本人の考えを否定しない。
- じっくりと本人の話を聞く。患者さんと同じ「感情のジェットコースター」に乗らないようにし、冷静さを取り戻します。
- 家族会でのネットワークを利用し、相談を受けます。
治療意欲に乏しい、医療スタッフや他の患者に迷惑をかける、とかの理由でできれば関わりたくないという医師も多々あるようです。ゆとりの無い現在の診療状態を思うと、医師の方達を責めるわけにもいきません。国をあげての対策こそが必要です。厚生労働省も自殺と境界性パーソナリティ障害との関係は知っていますが、まだ具体的な対策は取られていません。
しかし、苦手だと思う人に、手を差し伸べなくてはならない、救急車で運ばれてくるが対処法がわからない、という医師達が研修を積んでおられます。
自殺との関連、再発率も高いことなどもあり、早急な対策を取って欲しいです。日々悩んでおられる方が、良き医師に出会われることを祈っています。