睡眠時無呼吸症候群

肥満などのために寝ている時に舌が下がり、気道を塞ぐことで、呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群が問題となっています。日中に起きる突然の睡魔のために交通事故を起こしたなどと言う話も聞きます。約200万人が罹っているのではないかと言われています。

睡眠時無呼吸症候群の症状や対策などを学びたいと思います。

睡眠時無呼吸症候群の症状

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome・SAS）は、睡眠中に10秒以上の呼吸停止、つまり無呼吸が1時間当たり5回以上繰り返される病気です。

いびきや昼間の眠気、熟睡感がない、起床時の頭痛などの症状があります。また、睡眠時無呼吸症候群楽天は生活習慣病と密接な関係があり、放置すると生命の危険に及ぶこともあります。脳卒中や心臓病を起こすこともあります。

高血圧の人の30%に睡眠時無呼吸があります。
日中の眠気や疲労感があります。
寝ている時に、大きないびきをかいています。
無呼吸の指摘を受けたことがあります。

睡眠時無呼吸症候群の原因・起こしやすい顔の形

睡眠時無呼吸は、上気道（空気の通り道）が閉塞することで起こります。閉塞の原因は、首周りの脂肪の沈着、扁桃肥大、アデノイド、気道へ舌が落ち込む、舌が大きい（巨舌症）、鼻が曲がっているなどがあります。

日本人では、意外なことに睡眠時無呼吸症候群の43%の人が肥満ではないそうです。顎が小さいと睡眠時無呼吸症候群のリスクが高くなります。この病気は、50歳以上だと男女差がなくなるそうです。女性ホルモンのエストロゲンは、首回りの筋肉を弛緩させにくくしていてくれたのでした。女性が高齢になりエストロゲンが減ると、首回りも弛緩してくるのですね。

睡眠時無呼吸症候群を起こしやすい顔の形: 正面から見て、エラが張っていない細い顎の人。顔を横から見て、眉間から顎に線を引き、そのラインより内側に顎がある顎の小さい人。顎の下の角度が浅い人。歯並びの悪い人は顎が小さくなるので、歯並びの悪い人。顎が小さい人は、体重を増やさないようにすると良いです。

睡眠時無呼吸症候群の交通事故と合併症

交通事故: 新幹線の運転手やバスの運転手が突然の眠気に襲われて、停車駅を素通りしたり、交通事故を起こしたりと問題になっています。お客さんの命を預かっているので責任重大ですね。
合併症: 睡眠時無呼吸症候は、高血圧、心臓病、脳卒中、糖尿病などの生活習慣病を合併します。放置すると生命に影響を及ぼすこともあります。最近では肥満、糖尿病、高血圧、高脂血症の「死の四重奏」に睡眠時無呼吸症候を加えて「死の五重奏」と言われることもあります。

睡眠時無呼吸症候群の検査

問診では、睡眠、自覚症状などについて質問を受けます。睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合は、夜間の状態を診るため、入院をして検査を受けます。

終夜ポリグラフィー: 睡眠状態（眠りの深さや睡眠の質）と呼吸状態を同時に測る検査です。脳波や心電図、胸部・腹部のうごき、鼻からの気流、動脈血中の酸素の量を連続して計測し、その結果を医師が判断します。
簡易検査: 夜間睡眠中の呼吸状態を測る検査です。簡易的に検査をする必要がある場合や、緊急性のある場合などに用いられます。場合によってはご自宅でも検査可能です。

睡眠時無呼吸症候群の治療

睡眠時無呼吸症候群の治療は、内科的治療、歯科装具、手術に分けられます。

生活習慣病の改善: 運動などを取り入れて減量・ダイエットします。禁酒・減酒に努力します。禁煙します。そうすることで、無呼吸が改善してきます。
CPAP(シーパップ)療法: 睡眠中に鼻マスクを装着し、鼻マスクから空気が一定圧で送り込まれ、睡眠中に緩んだ喉の筋肉によって喉が塞がってしまうのを防ぎます。日本では、健康保険で中等症以上の睡眠時無呼吸症候群の方が保険適応だそうです。無呼吸が軽症でも、日中眠気が強い人は、健康保険適応外であっても試みてみるとよいそうです。健康保険が適用の人は自己負担は3割で、月に約5000円弱程度です。但し、毎月必ず外来受診することが必要です。CPAP(シーパップ)療法を受けて、使用3日で高血圧が140から120台へ下がり、よく眠れるようになった人もいます。脳卒中の予防にもなります。
マウスピース: いびき症、軽症の無呼吸症の方に有効な治療です。下顎を前方に数mm突き出してかみ合わすようにします。これで咽頭部が広がり、睡眠中に喉が狭窄・閉塞するのを防ぎます。総入れ歯や、ひどい顎関節症の方は使用できません。睡眠の専門医療機関と連携のある熟練した歯科医にお願いされるとよいです。寝ている時だけマウスピースを着けて寝ます。気道を確保できます。
手術療法: 小児の睡眠時無呼吸症候群の大半は扁桃肥大が原因で、そのため扁桃摘出術が効きます。全身麻酔で行なわれます。