皮膚がん
皮膚がんと言えば、メラノーマ(悪性黒色腫)が有名ですが、メラノーマは、足の裏にできやすいということぐらいしか知りません。
皮膚がんと紫外線との関連も気になります。私が子育てをしていた頃は、赤ちゃんを裸にして日光浴をさせていたものです。私が子どもの頃には、夏によく日焼けをすれば、冬には風邪をひかないと信じている人も多くいました。
現在では、日光浴は必要無いと言われています。日常の買い物、洗濯物を干すぐらいの家事で、十分な太陽を浴びているとのことです。皮膚癌の予防にはどうすれば良いのかもよく知りたいです。
皮膚の構造
皮膚は表皮、真皮、皮下組織からできています。
表皮は0.1~0.3㎜で薄く、角層、顆粒層、有棘層、基底層の4層からできています。基底層には免疫に関するランゲルハンス細胞、メラニン色素を作るメラノサイト(色素細胞)などもあります。
真皮は2~3㎜あり、基底膜を介して表皮と接しています。ここには、コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸などがあります。
真皮の下には脂肪層などの皮下組織があります。
人間皮膚の総面積は、たたみ1畳強の広さがあり、重さは体重の16%もあります。皮膚がん楽天 は、60歳以上の人に多いそうです。
皮膚の働き
- 人間の身体を外界から守ります。(細菌、ウイルス、紫外線、大気汚染など)
- 血管を拡張、収縮させて体温調節を行います。
- 傷を治し、修復させます。
- 水分を通さないようにして身を守ります。(海水なども通さない)
- 皮膚感覚という感覚器の働きをします。(触覚、圧覚、痛覚、温度覚)
皮膚がんの種類と特徴
がんの名前 | 原因 | 症状 | 治療 |
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メラノーマ(悪性黒色腫) | 紫外線や機械的刺激 先天性の黒あざの中に発生することも |
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手術で広範囲に切除します。病気によりリンパ節郭清します。その他化学療法、免疫療法があります。 |
基底細胞がん | 紫外線による光老化、放射線や熱傷瘢痕が関係することも | 普通のほくろに比べて青黒く、表面が真珠様の光沢をもつことが多いようです。潰瘍状のことも。眼瞼や鼻など顔面に好発。 | 皮膚癌の内最も予後はよいそうです。手術で切除します。 |
有棘細胞がん | 紫外線、慢性刺激、慢性炎症、ウイルス、放射線などが関与 | 皮膚がんの中でも多いものです。表面がいぼやびらんなどになり皮膚色の腫瘤で、潰瘍状のことも。腫瘤が大きくなると悪臭が出ることもあります。転移もします。 | 手術で広範囲に切除します。病気によりリンパ節郭清します。その他化学療法、放射線療法があります。 |
ボーエン病 | 原因は不明で中年以降に発症します | 紅くてざらざらした円形や、いびつな形もあります。見た目が湿疹に似ているからと薬を塗っても良くならず、少しずつ広がっていきます。放っておくと深く侵入していきます。 | 手術で切除します。大きいものは皮膚移植が必要。切除した後の転移や再発はまれです。 |
日光角化症 | 長年紫外線を浴びると発症しやすく、高齢者に多く見られます | 顔や首、腕に出ます。唇にも見られることがあります。1センチ位で、ぼんやりとした紅から茶色で、ざらざらしてかさぶたがついていることもあります。放っておくと広がることもあります | 手術で切除します。大きいものは皮膚移植が必要。切除した後の転移や再発はまれです。 |
パージェット病 | 原因は不明 | 乳頭や乳輪に生じるものと、陰部や腋などに生じる乳房外パージェット病とがあります。乳房パージェット病は乳癌と同じように扱われるきす。乳房外パージェット病は、60歳代の男性が多いです。陰部や腋などに紅くて湿ったものができ、かさぶたが付いていて、痒みがあります。見た目が湿疹やたむしに似ていることがありますが、薬を塗ってもよくならず、少しずつ広がっていきます。 | 広い範囲の皮膚を切除するので、皮膚移植が必要となります。再発や転移も少なくありません。 |
紫外線と皮膚がん・病気との関係
紫外線は波長の長さで3タイプに分類できます。紫外線A、紫外線B、紫外線Cです。紫外線Aが、一番波長が長く、紫外線B、紫外線Cと波長は短くなります。波長の長さが短ければ短いほど、人体に有害とされているようです。
紫外線Cは、今の段階では私たちの所まで届かないそうです。
波長の短い紫外線Bが繰り返し表皮に当たると、メラノサイトが刺激を受けシミができます。また、DNAが傷ついて免疫が落ちガンを発生します。紫外線Bは、日焼けさせます。日焼け止めクリームでは、SPF50のように表示されます。
長い波長の紫外線Aは、真皮まで届くことでコラーゲン、エラスチンが溶けて少なくなりシワができます。日焼けが起きにくいですが、冬でも夏の1/2もありますから、注意が必要とのことです。日焼け止めクリームでは、SPA+++のように表示されます。
紫外線によってメラニンが過剰に作られてシミ、ソバカスができたり、肌の弾力、ハリといったものに関わる線維を、紫外線が破壊してしまうとシワ・タルミがおこります。また、紫外線を多量に浴びると、皮膚の細胞が傷付けられ、突然変異をおこし、皮膚ががん化してしまいます。白内障の原因にもなります。
皮膚癌リスクチェック
- 日光に当たると、かなり皮膚が赤くなる。(黒くならない)
- 子どもの頃かなり日焼けした。(よく水ぶくれができた)
- 日光が常に当たる屋外で働いている。
- 日光の当たる顔、手足にシミ、シワが多い。
- 月に数回、強い日差しを浴びている。
スキンタイプは、1、2、3にわけられます。スキンタイプ1は、日光に当たると赤くなりやすく水ぶくれになりやすいタイプで、皮膚がんにかかりやすいそうです。
スキンタイプ2は、中間のタイプで、スキンタイプ3は、日光に当たると黒くなりやすいタイプです。
皮膚がんとホクロの違い
皮膚がんは、メラノサイトが増殖してできます。
ホクロは、母斑細胞が増殖してできます。
形と色の違いは、左右対称になるのはホクロで、皮膚がんの場合にはデタラメに増殖します。がんは対称的でなく、成人になってだんだん大きくなるものが多いそうです。ホクロが直径7mmの中に隠れると良いようです。ほぼ鉛筆の直径だそうで、心配な方は鉛筆の断面を当ててみると良いです。
また、毛の生えたホクロは良性の印だそうで、安心してください。がんであれば、毛など生やしてくれないそうです。
皮膚がんは、10万人に1人か2人だそうですが、怪しいホクロの場合は早めに受診し、切りとることが大切なようです。ホクロは、自分では絶対に取らないようにしてください。アザが消えなくなったり、がんだと周囲に飛び散る恐れがあります。
病院では、ホクロを切り取ったり、レーザーで焼いたりしますが、再発することもあるようです。よく、お医者さんと相談してから取るようにしてください。小さいのなら、ホクロ一つ取るのに1万円位だそうです。
子どもと紫外線
18歳までに受けた紫外線の量は、生涯で浴びる紫外線全量の50%~80%に当たるそうです。子どもは外で遊ぶことが多いからです。昼間20~30分の紫外線量で紫外線必要量に十分だそうです。
子どもの頃水ぶくれを起こすほどの日焼けは皮膚がんにかかりやすくなります。また、80%の皮膚がんは紫外線防止で防げるそうです。UVクリームなどを使って皮膚を紫外線から守ることが大事です。
UVクリーム・サンスクリーンの使い方
- 外出する30分前に塗ると、皮膚に紫外線防止の層ができます。
- たっぷりと塗ります。
- 2~3時間おきに塗りなおします。汗をかいた後や泳いだ後は塗りなおします。
- 水泳の場合はウォータープルーフのサンスクリーンを使用します。ウォータープルーフのものは、80分位もちます。
日光角化症
日光角化症は、前がん状態と言われます。数㎜~2cm位の表面がざらざらした斑状病変であり、紅桃色、褐色または肉色をしています。2~3ヶ月経っても赤みが引かない、冬でも赤みが増えるなどの症状もあります。
顔面、耳たぶ周辺、手背部、前腕にできます。心配な人は皮膚科へ行って相談してみてください。
治療には、凍結療法(簡単、傷あとが残りにくい、再発しやすい)液体窒素-196度で凍傷を起こし、皮膚を薄く剥がします。
手術(傷あとが残る可能性、再発しにくい、日光角化症は半分はガン化することがあるが、切り取ったことで検査ができる)
塗り薬 イミキモドクリームは、顔面や禿頭部のみに使われます。皮膚の中の免疫細胞を活性化させて治します。この薬を塗ると、皮膚がぐじゅぐじゅになりますが、そこを我慢して塗り続けると治るそうです。
フルオロウラシル軟膏は、手軽に使えますが、根治しないこともあります。