「てんかん」と高齢者での増加
てんかんは、3歳以下の発病が最も多く、80%は18歳以前に発病するそうです。しかし、最近は人口の高齢化に伴って高齢者の脳血管障害などによる、てんかんの発病が増えてきているようです。
そして、高齢者のてんかんは症状が地味なのでわかりにくく、物忘れが起きることから認知症と間違えられることもあるそうです。
「てんかん」とは
てんかんとは、いろんな原因によってもたらされる慢性の脳疾患で、大脳ニューロンの過剰な発射による反復性の発作(てんかん発作)を特徴としています。
てんかんは、乳幼期から高齢期まで幅広く発病しますが、3歳以下の発病が最も多く、80%は18歳以前に発病するそうです。最近は、人口の高齢化に伴って高齢者の脳血管障害などによるてんかんの発病が増えてきているようです。
てんかんのほとんどは遺伝しないそうです。一部のてんかんは遺伝子楽天 が関係していたりしますが、多くは良性で治癒しやすいようです。
「癲・てん」という字は、紀元前200年の秦の始皇帝の時代に、倒れる・ひっくり返る病という意味で用いられ、「癇・かん」という字は、7世紀初頭の隋の煬帝の時代に、特に小児のてんかんという意味で用いられるたそうです。
「てんかん」という病名の由来は、てんかん発作の大発作である「倒れる病」という意味だそうです。
てんかんの発症率は、100人に1人と言われ、日本では推定100万人と考えられています。現在の医療では、適切な治療で発作を70~80%の人でコントロール可能で、多くの人たちが普通に社会生活を営んでいるようです。
しかし、2割の人が薬を飲んでも発作をコントロールできない「難治性てんかん」のようです。
てんかんの原因
てんかんの原因は人によって様々で、「症候性てんかん」と「特発性てんかん」に分けれています。
「症候性てんかん」は、脳に何らかの障害や傷があることによって起こるてんかんのことで、生まれたときの仮死状態や低酸素、脳炎、髄膜炎、脳出血、脳梗塞、脳外傷などがあります。
「特発性てんかん」は、いろんな検査をしても異常が見つからない原因不明のてんかんです。
てんかんの症状
てんかんの発作は、全般発作と部分発作に分けられます。
「全般発作」は、発作のはじめから脳全体が「電気の嵐」に巻き込まれるもので、意識が最初からなくなるという特徴があります。
「部分発作」は、脳のある部分から始まる発作です。
全般発作とは
- 強直間代発作・・・大発作、意識喪失とともに全身を硬直させる(強直発作)、直後にガクガクと全身がけいれんする(間代発作)
- 単純欠神発作・・・数秒から数十秒の突然に意識消失し、すばやく回復する
- 複雑欠神発作・・・意識障害にくわえて他の症状、自動症やミオクロニー発作などを伴う、自動症(舌なめずり、揉み手、一見目的にかなった行動をする、ミオクロニー発作(体を一瞬ビクっとさせるものから意識消失して倒れるものまで様々)
- 点頭発作・・・全身の筋肉の緊張が高まり、頭部前屈、両手を振上げる、両脚の屈曲という形をとる
- 脱力発作・・・全身の力が瞬時になくなって崩れるように倒れる
部分発作とは
- 単純部分発作・・・意識はたもたれている
- 複雑部分発作・・・意識が消失する
- 二次性全般化発作・・・部分発作から始まり、全身のけいれんが起こる
てんかんの検査
精神科、神経内科、脳神経外科などを受診します。
- 脳波検査
- てんかんは脳の神経細胞の電気的発射によっておきますが、この過剰な発射を脳波検査で記録します。脳波検査はてんかんの診断のために最も重要な検査です。また、てんかんの発作型の判定にも役立ちます。何回検査しても安全で、痛みも無いです。
- 脳波検査以外の検査
- CT検査やMRI検査などでは、脳腫瘍や脳外傷などを確認できるため、てんかんの検査に有効です。PET/SPECT、MGE なども使われます。
- 血液検査・尿検査
- 血液検査や尿検査もてんかんの診断に欠かせません。てんかんの発作は様々な原因でおこるので、原因を調べるために血液や尿の検査をします。また、てんかんの薬物治療は長期間にわたるので、服用する前に体の状態を調べておきます。
てんかんの治療法
てんかんの治療は、薬物治療(服薬治療)が主になります。抗てんかん薬は、脳の神経細胞の電気的な興奮をおさえたり、興奮が他の神経細胞に伝っていかないようにして、発作の症状をおさえます。
1種類の薬で発作を抑制しますが、1種類のみで抑制されないときには、2種類以上の薬をもちいる多薬療法がおこなわれます。
また、薬の血中濃度測定は、適量の決定、副作用の予測や副作用が出た場合の対応、薬物の相互作用を知るうえで大変重要となります。
2年間発作がなかったら、運転ができるようです。
薬物治療(抗てんかん薬)時に気をつけること
- 毎日規則正しく服用します。
- 生活リズムを整え、暴飲暴食・睡眠不足を避け、健康的な生活を送ります。
- 勝手に服薬を中断しない・・・リズムがみだれると発作を誘発する原因となり危険です。
薬物治療の他には、外科治療や食事療法などがありますが、十分な服薬治療を行っても発作が抑制されないときに行なわれます。
薬物治療(抗てんかん薬)の副作用
てんかんの治療は、長期にわたり服薬が必要ですから、薬の副作用は重要な問題となります。薬の種類のよっても違いますが、副作用は以下の通りです。
- アレルギー反応がでる(発疹など)・・・速やかに服薬を中止します。
- 薬の量が多すぎる(眠気、ふらつきなど)・・・ほとんどの薬でみられる副作用で、薬の量を調節します。
- 長く服薬し続けることで体に影響がでる場合(肝臓機能低下、血液中の白血球減少、歯肉増殖、多毛、脱毛など) ・・・気になることがあれば、早めに医師に相談するようにします。
高齢者のてんかんが増加
「ためしてガッテン」で、高齢者のてんかんについて放送していました。
高齢者のてんかんの場合に、プロのお医者さんでも認知症と間違えて診断している場合もあるそうです。「隣の家の名前がわからない、駅までの道が、切符の買い方がわからない」などの症状が出たからです。
高齢者のてんかんの症状
ある人は、60代で発症し、突然の物忘れが起きました。記憶がまだら状に抜け落ちるそうです。そして、短期間ボーッとすることがあります。
高齢で発症したてんかんは、症状が地味なのが特徴のようです。意識が減損するだけで、失神・めまい・認知症などと区別しにくく、見逃されやすいので注意が必要です。
てんかんと言えば、子どもの病気と思いがちですが、50歳代から増え始め、高齢になるに従っててんかんの罹患率が急上昇していくようです。
高齢者のてんかんの原因
高齢者のてんかんの原因は若年者とは異なり、脳血管障害(30~40%)、頭部外傷、アルツハイマー病(神経変性疾患)、脳腫瘍などがあげられますが、1/3は明らかな原因は不明のことが多いようです。
脳血管障害発症から1年以内の発作の発症の危険率は、一般人口の23倍になるようです。
妻が、夫の症状を記録して、てんかんとわかった
78歳の男性の場合は、妻が克明に症状を記録して医師に見せたことで、てんかんの診断に役立ちました。
「座ろうとして座ってからおかしくなった。意識がないと分かる。妻が息子に電話すると、僕に子どもがいるの?と聞く」などと記録しました。
様々な症状が出るようで、ある人は入院してから調べると、夜にてんかん発作を起こしていました。
高齢者のてんかんの見極めのポイント
- 良い時と悪い時の差が大きい。
- 記憶がまだら状に抜ける。
- 短時間、3~5分の意識のとぎれがある。
- 無意識な動作、反復(体をゆする、衣類をまさぐるなど)をする。
- 睡眠中の痙攣がある。