うつ病
現在100万人の人がうつ病楽天 で悩んでいるそうです。女性の方が男性より2倍ほど罹りやすいと言われています。今では15人に1人が罹る身近な病気と言われます。
うつ病は「心の風邪」と言われていますが、そう簡単には治らないようです。うつ病は、行きつ戻りつをしばしば繰り返すそうです。そして、抗うつ薬の効果はゆっくりと効くそうです。うつ病は、辛い病気だということを周りの人が、理解してあげることから回復や治療が始まります。
うつ病とは
うつ病とは、日常的なストレスからくる不安、憂鬱な気分が長く続き、回復せずに日常生活に支障をきたす病気のことです。不眠などの症状が2週間以上続いたら要注意です。
昔は精神科と言えばちょっと特殊なものという偏見がありましたが、ストレス社会の今では、100万人が罹る病気で、私やあなたがいつ罹ってもおかしくない病気です。みんながうつ病について知り、うつ病の人に理解を示さなければならないと思います。
うつ病と女性
うつ病ではないかという相談者の58%が女性で男性は42%だそうです。うつ病は女性が男性の2倍あります。女性の場合は、女性ホルモンの変動がうつ病の発症と関係しています。
仕事を始める頃、家庭を持った頃、出産・更年期などにうつ病になりやすいようです。産後うつ病は、マタニティブルーより症状が重く、長期間になりやすいそうです。産後うつ病の発症率は10%程度です。育児で自分を責めることにより発症もします。
うつ病を発症した人が妊娠した時には、症状が軽い場合には精神療法で対応します。
うつ病の症状
ある女性は、日頃活発な人でしたが突然頭痛、めまい、どうきが始まり、集中力の低下にみまわれ耳鼻科、内科、婦人科などの診療科を巡ってみてもなかなか良くならなかったそうです。そんな時に内科の医師から精神科へ行ってみたらどうかと勧められ、やっとの決心で精神科を訪れ「うつ病」と診断されました。
「うつ病」と診断され、その女性はほっとしたそうです。もう、病院めぐりをしなくてもよいからです。
重症のうつ病(大うつ病)の症状
- ゆううつで不安、イライラした気分がほとんど一日中続くような日が、そうでない日よりも多く、少なくとも1年間同じような状態が続いている。
- 1.で述べた抑うつ状態に加え、下記の6項目の症状のうち少なくとも2項目以上が、1年も2年も続いている。
- 特に食事療法をしていないのに体重が減少したり、増加したりする(例えば一ヶ月で体重の5%以上の変化が見られる)。または、食欲がなくなったり、増進したりする。
- 十分な睡眠がとれなかったり睡眠過多になったりするのがほとんど毎日続いている。
- すごくあせってイライラしたり、まるで元気がなくなったりする状態が、ほとんど毎日続いている。
- 理由もないのに疲れやすくなったり、気力が減退したりする状態がほとんど毎日続いている。
- 自分は全く価値のない人間だと深く思ったり、自分はとても罪深い人間だと思い込んだりする状態がほとんど毎日続いている。
- 思考力や集中力がなくなって、何かを判断したり決断したりする能力がなくなる状態がほとんど毎日続いている。
- 死について繰り返して考えるようになった。特別な計画はないが自殺したいと繰り返し思ったり、どうやって死のうかと計画を立てたり考えたりする。
上記の9項目のうち5項目以上が、1週間以上にわたって続く場合に診断されます。(ただし、5項目の中に1か2が含まれること)
軽症のうつ病(気分変調障害)
- うつうつとした気分がほとんど毎日続いている。
- 何をしても、興味をもって取り組めないし、喜びも感じられない。そんな気分がほとんど毎日続いている。(食欲減退かまたは過食、良く眠れない不眠か寝すぎてしまう過眠、気力の低下または疲労、自尊心の低下、集中力の低下、決断困難、絶望感)
上の2点に当てはまる場合に、軽症うつ病の可能性が高いと診断されます。
うつ病の4つの型
- メランコリー型うつ病
- 比較的多くみられるようです。気分が重いという症状が出ます。
- 双極性障害
- 躁状態、うつ状態の繰り返しがみられます。
- 気分変調性障害
- うつ状態が長く続くようです。
- 非定型うつ病
- 普通のうつ病の症状とは反対の、過食になったり、夕方元気がなくなったりします。
双極性障害(そううつ病)
双極性障害は、うつ病ではなく、抗うつ薬を飲むと具合が悪くなるようです。双極性障害のチェック法は以下の通りです。
- 気分が良すぎる
- 自分がエラクなったように感じる
- 眠らなくても平気
- 声がかれるほど話続ける
- 金遣いがあらくなる
- 人が変わったようだと言われた
うつ病の原因
憂鬱が消えない脳の中はどうなっているのでしょうか。
うつ病の時には、ストレスなどによってセロトニンやノルアドレナリンなどの脳内の神経伝達物質の働きが悪くなっています。セロトニンやノルアドレナリンは、脳の中で意欲や活力などを伝達する働きをしているため、この働きが悪くなると憂鬱感などを引き起こしうつ病の症状があらわれるようになります。治療ではこの脳内神経伝達物質のバランスの乱れを修正することで、うつ病を改善できるようです。
うつ病は、神経伝達物質が少ししか出ないことにより、神経細胞が死に脳の萎縮を起こしたり、海馬という領域が小さくなることもあるそうです。
うつ病はなぜ起きるか
ストレス、考え方、脳の3つの要因があるそうです。
ストレスは、調整や休養で対処します。考え方は精神療法で、脳は薬で治療します。
そして、うつ病の大切な3つのポイントがあります。薬は正しいか、ストレスは除去したか、本当にうつ病かという点です。
初診時に医師に伝えること
- 気持ちの落ち込みについて(時期、程度、生活への影響)
- 体の状態(睡眠、食欲、排泄)
- 生活スタイル(職業、勤務状況、家族)
- 治療中の病気
自分では、病気の原因を考えようとするのはわかりますが、気持ちの落ち込みが、以前とどんな点が違うのか、変わらないのはどんな点か、普通の自分とどう違うのかを詳しく説明すると良いそうです。1.2.は、特にうつ病の診断に必要なようです。
病院へ行きたがらない場合は
家族は、病院へ連れて行きたいけれど、本人が行きたくないと言う場合は、一番辛がっている症状を治すために病院へ行こうと、誘えば行く気になる方が多いようです。うつ病を治しに行こうと、誘っても本人は、ピンと来ないそうです。
どうしても本人を連れて行くことが無理なら、家族だけが病院へいってもよいそうです。症状などが詳しくわかれば、治療に結びつきます。
うつ病患者への家族の支え
- 態度を変えずに自然に接する。はれものに触るようにしない。まず、辛さを共感していき、手を握ってあげるなどの触れ合いをする。しっかり治療していこうねと、声かけする。
- 安易な励ましは逆効果
- 決断は求めない 例えば「夕飯は何にする」とか聞かない方が良い。
- 日常生活の負担を減らす 洗濯や掃除はしてあげる。
- 気づく
- 仕事でミスが増える、飲酒の量が増える、口数が減った、ため息がふえる、外見を気にしなくなるなどに気づいたら、受診するように勧めてあげます。
- 勧める
- 精神科や心療内科の受診に抵抗をみせる場合も多々あると思います。内科や婦人科を勧めるとよいです。「しばらく寝ていないので体が心配だから見て貰ったら」などと言って勧めます。親戚などが集まって診察を勧めるのもよいようです。
- 声かけ
- こんな言葉は言わないでください。「がんばれ」「性格を変えないとね」「なぜこんな病気になった」原因を探さないでください。「誰でもあることだ」地獄の苦しみと感じている人に言うべきではありません。
- つき合い方
-
- 話を聞く時間を作ります
- いつも通りに接します
- 本人のペースを大切にします
- 重大な決定をさせません(離婚など)
- 時には距離をおきます
「生きていてもしかたない」という言葉を聞いた時には
- あわてず、話を聞きます。他に解決策はないかなと一緒に考えます。
- 入院や薬の増強をしてもらいます。しっかりと治療を受けます。
- 危険なサインを知ります。イライラ、深酒、身辺整理などのサインがあることもあります。
- 支える人がいない時には、家族の元に帰します。または、入院します。男性は女性の2倍の自殺があります。
抗うつ薬治療
うつ病治療の3原則は、1十分な期間の休養、2薬物療法、3家族や周囲のサポートです。うつ病は、まずは休養が必要です。そして、うつ病は、行きつ戻りつをしばしば繰り返すそうです。そして、抗うつ薬の効果はゆっくりだそうです。
現在使われている抗うつ薬は、10数種類あるようです。軽い薬から使っていきます。1つの薬を試す期間が3ヶ月かかります。良く効けばいいのですが、薬が効かなければ次の薬を試すことになります。4つの薬を試していると1年かかることになります。早い人で3ヶ月でよくなったという人は、運良く最初の薬が効いたということになります。
抗うつ薬の特徴
うつ病の薬の第一選択としては、SSRIやSNRI(賦活系・ふかつけい)というグループの薬が使われるそうです。副作用が少ないからのようです。
上記の薬が効かない、副作用が出る時には、三環系うつ薬、四環系うつ薬(一部に鎮静系)などを使います。2009年にはNaSSA(鎮静系)という新薬が出て、効き目が早いそうです。
うつ病には、不安・焦燥感の強いタイプと元気が出ないタイプがあります。そのタイプに合わせた薬が大事です。不安・焦燥感の強いタイプには鎮静系の薬、元気が出ないタイプには賦活系の薬が処方されるようです。
三環系うつ薬、四環系うつ薬の一部には、飲み心地がよくない・副作用があるものがあり、高齢者には使いにくいそうです。その点NaSSA(鎮静系)は、高齢者にも使えるようです。
うつ病の回復にかかった期間
この回復したという状態は、まだ、1年間は薬が必要という状態のことだそうです。(NHKためしてガッテンの資料です)
期間 | 回復した 人の割合 |
3ヶ月以内 | 24% |
3~6ヶ月 | 23% |
6~1年 | 18% |
1年以上 | 35% |
うつ病は、体質、ストレス、環境のコンビネーションで起きるようです。うつ病を放置しておくと神経細胞が痛んでしまうこともありますから、一刻も早く治療を始める事が大切です。
うつ病の薬以外の治療法
抗うつ薬だけではなかなか回復しない患者さんがいるためにいろいろな治療法が行われています。
広島大、岡本泰昌氏のうつ病の最新研究
岡本泰昌氏らは、うつ病と前頭前野の関連を研究していて、論文には「うつ病の安静時の脳血流・代謝に関しては、左の前頭前野や帯状回前部での低下が比較的一致した見解として得られている。」と、書かれているそうです。
文字を見せて、ボタンを押す作業をする試験によってうつ病者の反応を調べた結果、「うつ病患者において右前頭葉の反応性が低下している可能性を示唆しており、そのため行動の抑制機能が不良となることが想定される。そのため、自殺などの衝動行為がおこりやすくなるものと考えられた」と、書かれているようです。
新しい考え方として、うつ病と前頭前野の関係を指摘しています。
認知行動療法
落ち込んだ時の気分などをノートに筆記していき、別の考え方や他の人にアドバイスしてあげるとしたら、どう答えるかなども書き込んでいきます。
書き込みを続けていくことで、情けない気持ちが80%から30%へ減っていったということです。また、落ち込んだ気分が、30%から10%へと減っていったそうです。
そして、不快を予測できたり、うまくいってなくても良いんだという気持ちや、気楽さを持てるようになったそうです。このトレーニングは、続けていくことで再発の防止になり、考え方の幅を広げてくれるそうです。
フリフリ体操
フリフリ体操で気分を変えることで、明るくなる、笑いが増える、陽気な気持ちになるなどの効果が期待できます。この体操をしているのは、茨城県利根町の方達です。簡単な腰ふりと手をふる体操でゆううつな気分やストレスが減っていきます。
うつ病は、回復が進んだ段階でも体を動かすことが大事です。自分でも動いてみようかという気になったら、家族で散歩する、体操をするなどがとてもよいそうです。
うつ病と自殺
世界的な金融危機の影響を受けて、自殺者が増えています。2008年は自殺者が32,249人だったそうです。ここ11年連続で3万人を超えているようです。
うつ病になり自殺を図った人の言葉です。「逃げたい、いつもモヤモヤしている、心で明確に死のうと決めていたわけではない、電車で30~40分かけてビルの屋上へ行った、記憶がない」
発作が起き、突然スイッチが入るという状況のようです。
4度の自殺未遂を起こした人の言葉です。「心のモヤモヤから解放されたい、死ななければ解放されない、生きたいという気持ちもある、常に2つの気持ちが戦っている」
一つのことしか考えられなくなるようです。「ヤミ金融に手を出した。毎日利息の返済をせまられた。仕事も満足にできない状態。いつもお金の計算をしている。アパートの足音でも借金の催促かと思う。ヤミ金融の取り立てから逃れたい」
支える人がいなかったのでしょうか?
相談すると相手に迷惑をかけるのでは、迷惑をかけたくない。という思いが強いようです。そして、借金は恥であり、法律相談所でもお金がいるから相談できないと考えている人もいます。お金が少しでもあれば、ヤミ金融に返済しなければならないと思っています。
どんな人なら相談できますか?
同じ体験をした人に窓口になってもらい、そこから行政の方へとつながりを持ちたい。普通の人が考えている以上に敷居を低くしないと相談できない状態にいます。 死にたいと心に秘めている人にどのように接しますか?
まず、共感します。相手の言い分をじっくりと聞きます。その後に提案をします。そして、一緒に窓口で手続きをします。
不況になると、自殺者が増えるという状況はおかしいです。社会的なゆとりがないという現実を突きつけられています。