一過性脳虚血発作(TIA)
脳梗塞で大事な事は、前触れの段階・一過性脳虚血発作(TIA)の状態で医者にかかり、後遺症や死から免れるということです。脳梗塞の危険性のある人は、日頃から脳梗塞の前触れ・一過性脳虚血発作(TIA)の症状や治療法などもよく知っておく必要があります。
脳梗塞の前触れ
50歳代男性の場合
この男性は美容師をされています。左半身に異常を感じました。触られている方の感覚が無く、透明人間になった様な気がしたそうです。
父親が脳梗塞だったので、すぐにタクシーで病院へ行きました。TIAという一過性脳虚血発作を起こしていました。左半身の麻痺で、2週間の入院となりました。
「早く気づいて、勇気を出して病院へ行って良かった」と言われています。
一過性脳虚血発作(TIA)とは
一過性脳虚血発作(TIA)とは、動脈硬化楽天 で脳に行く血液の流れが一過性に悪くなり、運動麻痺、感覚障害などの症状が現れ、24時間以内多くは数分以内にその症状が完全に消えるものです。脳梗塞(のうこうそく)の前触れとして重要な症状です。
TIAが起こった場合、約10%が1年以内に、約30%が5年以内に脳梗塞を発症する言われます。一過性の時に、大爆発が起きる前に消火することが大切です。
一過性脳虚血発作(TIA)時の症状
TIAの発症は急激で5分以内に症状が完成し、2~30分(多くは数分)続くようです。
大脳へ行く血管系には内頸動脈系と椎骨動脈系とがあり、内頸動脈系のTIAでは、半身の運動麻痺、感覚鈍麻、失語症(言葉が言えない、理解できない)、片眼の視野障害などが表れます。
椎骨脳底動脈系のTIAでは、めまい、構音障害、物が二重に見える複視、意識障害を伴わない下肢の脱力のために転ぶドロップアタックといった症状が表れます。
- 片側の麻痺・しびれ
- 両手を胸の前に伸ばしてもらうと、麻痺のある方の手が内側を向き下に落ちます。
- 顔のゆがみ
- 「いー」と声を出し、口角を上げるように言います。良い方は横に口が広がりますが、麻痺のある方は広がりません。
- 呂律が回らない
- 「ラリルレロ」と発音してもらいます。麻痺があるとはっきりと発音できません。
- 視野が狭くなる
- 片目がスーッと黒い幕が降りた感じで見えなくなります。右目、左目で確かめます。
一過性脳虚血発作(TIA)後の脳梗塞リスクチェック
ある男性は場合は、右手・右足がおかしいと感じたのは、わずか2分間でした。しかし、すぐに病院を受診しました。
2分間で症状がおさまると、病院に行っても仕方ないのではと思いがちです。そこで、参考になるチェック法をテレビで教えていました。
- 60歳以上 1点
- 片側麻痺 2点
- 高血圧(140/90mmHg以上) 1点
- 言語障害 1点
- 糖尿病 1点
- 麻痺の時間・60分以上 2点
- 麻痺の時間・10~59分 1点
以上の項目に該当する点数を足して、4点以上だと緊急入院治療が必要です。3点でも治療が必要となります。
以前は、一過性脳虚血発作(TIA)は様子をみていたそうですが、今では脳梗塞の前の段階での治療が大切だとわかり、早期に治療を始めています。
検査法
- 超音波ドプラー検査
- 頸動脈の超音波ドプラー検査を行い、血管の内中膜の厚さ、プラークの状態(動脈硬化の指標)を調べます。
- 脳血管撮影
- 脳血管の病変を調べるために脳血管撮影を行い、狭窄部位と狭窄の程度を調べます。
- MRI検査
- 拡散強調画像MRIでは急性期の脳梗塞の有無を調べます。
頸部から血管の雑音を聴いたり、心疾患が疑われる場合には心エコー検査も行なわれます。
治療法
TIAの多くは診察時には症状がおさまっているので、再発予防が重要となります。
- 生活習慣病等の治療
- 脳梗塞の危険因子となる高血圧、糖尿病、脂質異常症の管理、禁煙指導、心疾患の治療、経口避妊薬の中止、運動指導などが行なわれます。
- 薬物治療
- 再発予防のための薬物治療として、抗血小板薬のアスピリン、クロピドグレル、シロスタゾールなどが用いられます。TIAの最後の発作から少なくとも1年以上は服用し、基礎疾患のある場合にはさらに長期にわたり服用する必要があるそうです。
心臓からの血栓が塞栓の原因の場合には抗凝固療法が行なわれます。頸動脈の血管病変がひどく70%以上の狭窄がある時には、頸動脈内膜剥離術が行われます。