レム睡眠行動障害
激しい寝相や睡眠中に暴言をはいている人が、推定で約50万人もいるそうです。レム睡眠行動障害を発症する人の大半は、50歳以上の男性だそうです。薬物治療により、患者さんの8~9割の人は症状が軽減するようなので、早期に受診されると良いです。
激しい寝相・暴言の人が約50万人も
激しい寝相や睡眠中に暴言をはいている人が、推定で約50万人もいるそうです。
そばで寝ていると家族も殴られたり、本人が怪我をしたりで悩んでいるようです。
41歳男性の場合には
41歳男性は、普段は優しいお父さんですが、寝ている時には暴言が激しいそうです。しかし、本人は普通に寝ていると思っています。
寝ているところをビデオ撮影したら、3時20分には、笑っていました。6時19分には、「てめえ、お前ら。帰ってくれよ、出入り禁止。おい、ストレート」と言って殴るかっこうもしていました。
そこで、すぐに起こすと、息子と息子の友だちを怒っている夢を見ていたと、本人は言いました。
夢と現実との関係は、ないようです。知らない人が出てきたり、したことのない結婚式の司会をしていたりもします。
レム睡眠とノンレム睡眠の違い
睡眠楽天 は深さと特徴によって、レム睡眠とノンレム睡眠に分類できます。
眠ると、最初にレム睡眠が始まり、しばらくすると深いノンレム睡眠に入ります。レム睡眠とノンレム睡眠はセットで起き、平均的には約90分サイクルで繰り返すようです。
眠りに入ってから目覚めるまで、約80分~110分のサイクルで、レム睡眠とノンレム睡眠を交互に規則的に4~5回繰り返しそうです。最初の約3時間はノンレム睡眠の占める割合が高く、その後はレム睡眠とノンレム睡眠が交互に起き、目覚めが近づくにつれ、レム睡眠の時間が長くなるようです。
最初から最後までノンレム睡眠だけだだと、長時間脳の活動レベルが休息状態となり脳の温度も下がってしまって、起きた時に正常な活動レベルまで戻すのが難しくなるからだそうです。途中に適度にレム睡眠をはさんで、脳の温度が下がりすぎないようにしているとのことです。そのため朝起きた時に、大脳がスムーズに活動を再開してくれるそうです。
- レム睡眠とは
- レム睡眠は浅く呼吸をして、眼球が活発に働いている状態(急速眼球運動)です。睡眠中枢の働きで筋肉の緊張がゆるみ、全身の力が抜けている状態です。しかし、脳は活発に動いていて交感神経は緊張状態にあります。レム睡眠時の夢は、物語性があり、登場人物もはっきりとしています。レム睡眠は脳の「記憶情報処理」にも関わっています。
- レム睡眠時には、目が動き、眠りは浅く、夢ははっきりとしていて、歯ぎしりはしません。
- ノンレム睡眠とは
- ノンレム睡眠は深い寝息で眠っている状態です。脳は活動を低下させ、休息しています。大脳の活動度が低いほど眠りが深いとされ、熟睡状態つまりノンレム睡眠が深い状態のときは多少の物音では目が覚めません。脈拍、血圧、呼吸は安定していて、成長ホルモンの分泌や免疫増強作用なども体の中で働いています。多少、睡眠時間が短くても深いノンレム睡眠がとれれば、脳は効率よく回復してくれます。逆に、深いノンレム睡眠がとれないと、いくら睡眠時間が長くてもよく眠った気がしません。ノンレム睡眠時に見る夢は、おぼろげなイメージでぼんやりとしています。
- ノンレム睡眠時には、目は動かなくて、眠りは深く、夢はぼんやりとして、歯ぎしりはします。
レム睡眠中の「スイッチ」の異常が原因(レム睡眠行動障害)
さて、病的な激しい寝言や寝相は、いつ、どうしておきるのでしょうか。
はっきりとした夢を見ているので、レム睡眠中に病的な激しい寝言や寝相が起きているようです。が、普通は、レム睡眠中には、睡眠中枢の働きで筋肉の緊張がゆるみ、全身の力が抜けている状態で、病的な激しい寝言や寝相は起きないはずです。
なぜなら、レム睡眠中、 脳幹という場所にある 脳から体への指令を遮断するスイッチが働いているからです。このスイッチのあるおかげで、脳は、睡眠中も、記憶の整理など、効率的な学習を進めることができています。ところが、このスイッチがうまく働かないと病的な激しい寝言・寝相が 現れてしまいます。
レム睡眠中に働くスイッチの異常により激しい寝言や寝相がおきる病気を「レム睡眠行動障害」と言います。
その要因は「αシヌクレイン」という加齢とともに増えるたんぱく質の蓄積だと推測されています。そして、「パーキンソン病」や「レビー小体型認知症」との関連が指摘されています。
レム睡眠行動障害の見分け方
- レム睡眠行動障害」の自覚症状
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- 起こされると夢をハッキリ記憶している
- 追われる、戦うなどの不快な夢が増える
- 目覚めたときに身に覚えのないケガがあったり部屋が荒れるなどしている
- 周囲が気づける症状
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- 鮮明な寝言が続く
- 手足を激しく動かす
- 寝言・手足の動きと夢の内容が一致する
本人が自覚するのは難しいので、家族がこの病気に気づいてあげることが、病気の発見につながります。
レム睡眠行動障害の治療法
レム睡眠行動障害を発症する人の大半は、50歳以上の男性だそうです。
「レム睡眠行動障害」の疑いがある人は、睡眠を専門とするクリニック、精神科、神経内科を受診するとよいです。
治療は、抗てんかん薬やパーキンソン病の治療薬などを用いた薬物治療が行われます。患者さんの8~9割の人は症状が軽減するようです。
近年「パーキンソン病」や「レビー小体型認知症」との関連が注目されているそうです。症状がある場合は、早期発見・治療がすすめられています。
PSG検査など
激しい寝言・寝相の原因を調べるために、通常、問診に加え、「PSG検査」という睡眠中の脳波と、筋肉の緩み具合を調べる検査を行なうそうです。
費用は、問診・PSG検査あわせて、保険適用(3割負担)で、1万5000円程度かかるようです。