歯周病
歯周病は、歯を無くす原因だけでなく、糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、肺炎、早産、低体重児などの病気も引き起こす怖い病気です。歯周病についてよく学んで、歯を長持ちさせ、他の病気にも罹らないようにしたいものです。
また、歯に自信のある人は歯周病になりやすいそうです。歯周病は自覚症状がなく、本人が知らないうちに進んでいるからです。
歯周病について
現在、歯周病とその予備軍を含めて、小中学生の4割、30歳以上の8割が歯周病になっているそうです。歯周病は、脳卒中、糖尿病、低体重児、心筋梗塞、がんとの関連も言われています。
肺がんでは歯周病があると1.4倍多くなり、膵臓がんでは歯周病があると、2倍多くなると言われています。また、歯周病があると心臓病では2.8倍、脳梗塞では2.9倍と罹患率が高くなるようです。
歯周病とは
歯周病とは 、歯の表面につく歯垢(しこう、プラーク)細菌の塊で、炎症による出血、歯ぐきが腫れる歯肉炎、歯を支えている歯槽骨が破壊される歯肉炎があります。入れ歯になる最大の原因は、この歯周病によるものだそうです。
歯周病が恐ろしいのは
歯周病楽天 が恐ろしいのは、全身に及ぼす影響です。歯周病は細菌による感染症なので、その細菌や毒素が血液で全身に運ばれて、気管から肺へ入ることで体全体に悪影響を与えます。歯周病は、糖尿病、心疾患、脳卒中、早産、肺炎などと関係があるといわれています。
また、虫歯菌は、心臓の弁が大好きで弁を硬くするそうです。5年、10年と経つと心臓病になる可能性があります。食道がんのリスクも高まります。
歯周病になりやすい人
食生活(ベタベタと歯に付きやすい食べ物など)、糖尿病、骨粗しょう症、リウマチ、薬の副作用(ホルモン製剤、抗てんかん薬、狭心症、免疫抑制剤、カルシウム拮抗剤、抗ヒスタミン剤)女性ホルモン(妊娠、更年期、思春期)ストレス、タバコ、遺伝など。歯周病菌は、女性ホルモンをエサにして元気になるそうです。歯周ポケットに毛細血管から女性ホルモンがしみ出ると歯周病が促進されます。 妊娠、更年期、思春期の女性は、特に注意が必要です。そして、歯肉やせが起こってきます。
中年期の歯周病(ストレスと喫煙)
ストレスがあると、細菌感染に対する免疫が落ちたり、口腔衛生がおろそかになったり、タバコを吸ったり、歯ぎしりを起こしたりと、歯周病の悪化を招くことが考えられます。歯ぎしりは強い力で噛むので、歯の根や周りの歯槽骨に負担がかかります。歯周組織に炎症があると、骨の破壊が一気に進むと言います。ストレスを避けるためには、十分な睡眠を取り、リラックスを心がけます。専門家のカウンセリングも必要な場合があります。
喫煙は、歯周病の最大のリスクの一つだそうです。喫煙関連歯周炎とよばれます。喫煙者は、吸わない人に比べて、約2~9倍発生率が高くなるそうです。ニコチンが、歯肉の血管を収縮させ血流が減ります。歯肉が低酸素になり、歯周病の細菌が増えます。また、細胞機能も低下させ、歯肉や歯槽骨の治りが悪くなります。悪いことに、喫煙者は、見た目の歯肉の炎症が抑えられていることが多くあり、気づいた時には、重症だったということになります。
2014年度喫煙調査では、成人男性の約30%、女性の約10%が喫煙しています。喫煙率の高い40歳代では、成人男性の約39%、女性の約15%が喫煙しています。
歯周病が発症し始めるのは、40歳代以降だそうで、喫煙のリスクをよく考えていただきたいものです。
歯周病の初期症状
1.食べ物がよく詰まる。
2.口臭が強くなった。
3.歯がのびた気がする。
4.よく血が出る。歯ぐきからの出血。
5.冷たい水で歯に違和感がある。
6.よる寝ている時に、口の中が熱っぽい。
歯周病は、進んでいても痛みがなく、慢性の炎症でジワジワと進みます。
歯周病の予防
歯みがきが一番です。毎食後磨くのが理想ですが、できない方は、就寝前の歯みがきを特に念入りにされるようお勧めします。どうしても歯磨きができない時には、ブクブクうがいを20秒間行いましょう。 また、歯石が付いていると、その下に歯垢が付きやすいので、歯医者さんで、歯石を取ってもらいましょう。歯石は硬くて、歯みがきでは取れません。
歯周病の予防には、1.唾液をよく出すこと。そのためにも1日3回しっかり食べることです。朝食抜きはよくありません。唾液をよく出すために、舌を歯茎をなでるようにグルグル回します。1日左右5回ずつ行います。2.ストレスをためないこと。ストレスで唾液が減ります。
ココアに含まれるポリフェノールが、歯周菌を殺すそうです。そして、歯磨きもお忘れなく。歯周病は、多少は改善しますが、治ることはなく進まないようにします。歯周病は、遺伝ではありませんが、菌の種類によって歯周病になりやすくなります。強い歯周病菌は、夫婦や親子に感染します。
歯周ポケットとは
歯と歯茎の間に歯垢が貯まることで隙間ができます。この隙間が歯周ポケットです。歯周ポケットができていても、自覚症状がないこともしばしばあります。
歯周ポケット
軽度の場合は歯周ポケットが3~4㎜、中程度の場合は歯周ポケットが4~6㎜、重度の場合は歯周ポケットが6㎜以上です。
歯周病菌を飲み込むと、通常は胃の酸で殺されます。歯周病菌が誤って気管の方へ入り肺へいくと肺炎になります。
また、歯の歯周ポケットから血管へ歯周病菌が入り全身へ巡ることもあります。歯周病菌をやっつけるためにどんどん白血球が集まり血栓ができやすくなります。また、コレステロールの塊ができやすく動脈硬化になります。歯周病菌が動脈硬化を促進させるそうです。
歯の歯槽骨が減っている人は、2.8倍心筋梗塞になりやすいそうです。脳梗塞にも少しは影響があるようです。
糖尿病と歯周病
糖尿病の人は、免疫力が落ちているので、2~3倍、歯周病になりやすいそうです。また、肥満の人には歯周病の人が多いようです。肥満の人の内蔵脂肪にはTNF-α(腫瘍壊死因子)という物質がたくさんあり、これは炎症反応を活発にさせるそうです。肥満の人は、常に炎症が起きやすい状態にあると言うのです。
400人の調査で歯周病が血糖値を上昇させる原因となっていることか分かりました。血管の中に歯周病菌があると、TNF-α(腫瘍壊死因子)が増え、これがインスリンの働きを妨げ血糖値を上げます。
また、血糖値が上がりやすい体質に歯周病を発症すると、糖尿病が悪化し、糖尿病が悪化すると歯周病菌が悪化すると言う、魔のスパイラルに陥るそうです。
歯周病の予防と治療
歯周病の予防には、正しい歯磨きが大切です。特に奥歯と歯と歯の間をしっかりと磨くことが重要です。
歯ブラシの選び方・・・歯ブラシは、ブラシの大きさ(小・中・大)と毛の硬さ(硬め・普通・柔らかめ)を選びます。自分の口と歯茎に合った物を選びます。大きさとしては、頬側の奥歯の奥まで、ブラシが入る大きさであることが、重要です。
磨き方・・・強すぎる力で磨くと、かえって歯茎が傷ついてやせてきますから、注意が必要です。
電動ハブラシなど・・・電動歯ブラシやフロス、歯間ブラシなども使ってすみずみまできれいにしましょう。
プラーク・コントロール・・・プラーク(歯垢)の量を減らすことが大事です。
1.歯科医が行うプラーク(歯垢)の除去
2.セルフ・ケアで行うプラーク(歯垢)の除去
軽度の歯周病は、1.+2.で治せます。歯周病治療で血糖値が下がるそうです。6ヶ月もすれば、ずいぶん下がるようです。
セルフケアのポイント(プラーク・コントロール)
○歯ブラシは、歯と歯茎の境目を意識して磨きます。
○歯ブラシは、力を入れずに小刻みに動かします。
○デンタルフロスや歯間ブラシを使って丁寧に磨きます。
歯科医が行うプラーク・コントロール
○スケーラーというひっかき棒でプラーク(歯垢)を掻き出します
○歯周ポケットの深い場所のプラーク(歯垢)は、歯茎をはがして取ります。その後歯茎を元の状態に戻します。フラップ手術と言います。
○保険が効かない、エナメルマトリックスたんぱく質再生療法という方法もあります。下記のバイオリジェネレーション法のことです。歯の歯根面に歯肉が張り付かないようにメンブレンという医療用具(ゴアテックスGTRメンブレン)を貼り付けます。骨や歯根膜ができるようにするためです。GTR法の手術は、1部位につき約40000円からあるようです。
エルビウムヤグ・レーザー
エルビウムヤグ・レーザーは、短時間で歯周病菌を殺すそうです。炎症を起こしている歯と歯茎の間にこのエルビウムヤグ・レーザーを当てるだけです。
10億分1mmの爆発で歯周病菌を殺すそうです。
1.2~3回で、歯茎の状態がよくなる
2.一瞬の照射なので、ほとんど痛みを感じない
3.痛くない最新治療なので、保険適応外で1回3000~10000円ということです。
エルビウムヤグレーザー
唯一、歯を削ることが認可されたレーザーで、水を併用するので痛みの発生が最も少ないレーザーとして評価されています。生体組織の水分に対する反応が高く、発熱が少ないため、表面が黒く焦げるなど周囲の組織への影響がほとんどなく、安全性の高いレーザー装置といわれています。治療時は虫歯の部分だけを取り除くことができるため、健全な部分を多く残すことができます。また、歯だけでなく歯周病など多くの治療に用いられています。
バイオリジェネレーション法
エムドゲインと言う、特殊タンパク質を使って歯茎を健康な状態に戻すという新しい治療法もあるようです。溶けた骨もある程度再生できるという優れもののようです。医療費は、10~20万円くらいかかるそうです。
バイオ・リジェネレーション
バイオリジェネレーションは、歯周病の歯の周囲の歯肉を切り開き、歯根から歯周病菌の塊を取り除き歯槽骨などの再生を即すために食用豚の歯のもと歯胚(しはい)から抽出したたんぱく質『エナメルマトリックスタンパク』を歯根に塗ると細胞が歯をセメント化していくものです。
歯牙冷凍保存法
インプラントでは、拒絶反応やアレルギーが起きることもあります。自分の歯を移植して使うこともできます。歯根膜が付いていれば、アレルギーが起きにくいそうです。
そのためには、自分の歯を特殊な方法で冷凍保存しておけば、いざと言うときに使えるそうです。しかし、1本を20年間の保存で128000円の費用がかかります。
現在、1800本が歯牙冷凍保存されているようです。全国の約200の歯科医院で行っているそうです。
歯周病菌99%殺菌、数年以内に実用化も
東北大学大学院歯学研究科の菅野太郎助教らのチームが、虫歯や歯周病などの原因菌をほぼ死滅させられる新たな殺菌法を開発しました。
論文は米国の薬学雑誌2010年12月号に掲載されました。
その殺菌法は、虫歯菌や歯周病菌など4種類の口腔内細胞と過酸化水素の水溶液に、目に見える波長のレーザー光を照射するというものです。強い殺菌作用のある物質「活性酸素」の一種を発生させ、3分以内に99.9%以上の菌を死滅させたといいます。体への影響はないとみられ、治療が難しい歯周病の奥深い病巣を殺菌することなどへの応用が期待されています。
研究チームは、「リコー光学」(岩手県)と治療機器の開発をすすめているそうです。2011年度以降にに臨床研究に入る予定でそうです。菅野太郎助教は「過酸化水素もレーザーも単独では殺菌力は弱いが、組み合わせれば非常に強力な殺菌作用を持ち、扱いやすい。3年後の製品化を目指したい」と話しています。